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今月の税務・経営トピックス
(2006年11月1日 更新)


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税務・会計
平成18年分の年末調整

  平成18年度の年末調整時期が近づいてまいりました。そこで、今年の年末調整計算を行う場合に、以下を参考になさってください。

1.定率減税額の引き下げ
 平成18年分の年末調整にあたり、定率減税額が所得税の10%(最高12万5千円)に引き下げられております。  ちなみに昨年は20%(最高25万円)でした。なお、この定率減税は今年で終了となりましたので、 平成19年分からは定率減税はなくなり、所得税の税率も改正されたため、税額表も変更されました。

2.勤労学生控除の対象となる専修学校等の範囲の拡大
 文部科学大臣が定める基準を満たす専修学校が追加されました。

3.未払役員賞与で1年経過したものは源泉徴収が必要
未払役員賞与の確定から1年を経過した日までに確定した賞与が支払われない場合は未払い ですが源泉徴収だけ先に行う必要があります。(実質は従来と同じです。)


その他の参考事項

●年の途中で扶養親族に変更がある場合や、まだ扶養控除等(異動)申告書の 提出がない場合でも、年末調整を行うまでに扶養控除等(異動)申告書の提出が あれば年末調整ができます。

●控除対象配偶者についは、配偶者特別控除を受けられません。

●年の途中で名字が変わった方、配偶者なしの方で子が扶養親族と なっている場合、寡婦控除の適用の有無を確認する。

●配偶者特別控除を受けようとする所得者の合計所得金額が1 ,000万円超の場合は控除できません。

●国民年金保険料及び国民年金基金の掛金について社会保険料控 除を受ける場合には領収書や証明書が必要です。

●本人が支払った生計一親族の負担となる社会保険料も 社会保険料控除の対象となります。

●住宅借入金等特別控除について、12月31日まで引き続き居住の用 に供しているかどうか、合計所得金額が3,000万円を超えていないか、 借入金の遅延又は繰上返済により証明書の借入金残高に変更がないか、 連帯債務の場合に負担割合を乗じているか。



 

法 律
 株式会社の設立  

 株式会社の設立には、発起設立と募集設立の2つがあります。
 発起設立は発起人が設立時に全ての株式の発行を引き受ける設立方法をいい、 募集設立は発起人が設立時の株式発行を引き受けつつ、そのほかに株式を 引き受ける者を募集する設立方法です。
 発起設立の手続きの概要は以下のようになりますが、払込保管証明 が不要であるため募集設立に比べて採用されるケースが多くなると思われます。

株式会社の設立手続きの概要

1.発起人や会社の基本内容の確定
 会社の商号や目的など会社に係る基本内容を確定しておきます。

2.原始定款の作成と公証人の認証
 設立時に作成する定款は原始定款といい、その原始定款には必ず 記載しなければならない事項である絶対的記載事項があります。 その記載がない原始定款は無効となってしまうため、会社の目的、商号、 本店所在地、当初の出資財産の価額と最低額、発起人の氏名等の絶対的記 載事項は必ず記載する必要があります。
 これに対して、会社設立後に受ける発起人の報酬など定款に記載して 初めて有効となる記載事項もあり、相対的記載事項といいます。
 その作成した定款は公証人の認証を受けると有効な定款となり、会社成立 後には本店及び支店に備え置き、債権者等が閲覧やコピーをできるようにす る必要がありあります。

3.株式の引受けと払い込み
 従来はここで払込保管証明書が必要でしたが会社法においては不要となりました。 その発行のために銀行等に依頼をし、そのための一定の手続き期間が必要であったり、 発行依頼を引き受けてもらえなかったりと問題もありました。

4.役員の選任
 発起人は設立時の取締役を発起人の議決権の過半数をもって決定する必要があり、 会計参与や監査役なども必要に応じて選任する必要があります。
 なお、定款自体に設立時の取締役等が定められている場合は出資が完了すると選任されたものとみなされます。このとき、取締役会設置会社の取締役は3人以上必要であり、監査役会設置会社の監査役は3人以上必要です。

5.設立登記申請
 本店所在地で設立登記をして、手続きが完了となります。  最低資本金は1円でも可能のため、ここまでの設立費用は印紙代や定款認証代などの約25万円となります。このほかに、手続きを司法書士などへ依頼した場合はその報酬が別途必要です。




人事・労務
賞  与    

 賞与、ボーナス、期末手当、夏季賞与、冬季賞与など、その名称を問わず、労働の対償として 年間3回以下の賞与等の支払いをしたときは、特別保険料を納付しなければなりません。
 (年間4回以上支給されるものは標準報酬月額の対象とされます。)
   被保険者に賞与等を支払ったときは、5日以内に「健康保険・厚生年金保険賞与等支払届」、 「健康保険・厚生年金保険被保険者賞与支払届総括表」を社会保険事務所に提出する必要があります。
 電子申告により行うこともできます。
 ただし、健康保険組合に加入している事業所は、健康組合の規定により定められています。
 
  被保険者の負担額 

   健康保険料 賞与の額(100円未満切捨て)× 41.00/1,000

   介護保険料 賞与の額(100円未満切捨て)×  6.15/1,000

   厚生年金料 賞与の額(100円未満切捨て)× 73.21/1,000

   雇用保険料 賞与の額(100円未満切捨て)×  8.00/1,000

   所得税額  賞与の額に上記で計算した社会保険料と雇用保険
           料を控除後、賞与に対する源泉徴収税額表により
           税額を求めます。

 ※ 介護保険料を徴収する人は、40歳以上65歳未満に該当する人
   です。(12月中に40歳になる方は、介護保険に該当します、
   また12月中に65歳になる方は、介護保険に該当しません。)

 ※ 12月30日までに会社を退職する人は、12月中に支払われる賞
   与にかかる社会保険料(健康保険、介護保険、厚生年金)を
   徴収いたしません。

 ※ 育児休業等期間中で保険料を免除されている場合は、賞与に
   かかる保険料も免除されますが、年金支給に反映するため、
   賞与支払届の提出は必要となります。
                                                                                                

            


経 営
 ISOを考える 

 I S O(International Organization for Standardization 国際標準化機構) を考える。
  ISO 9001 & ISO 14001 とは!

(1)ISO 9001 
   顧客は、品質マニュアルの整備がされることで、安定した製品やサービスの供給できる、 すなわち品質システムの確立した企業を期待している。
   よって、企業側は顧客のこのような要求に対応すべく、ISO9001の認証取得をすることにより、 製品、サービスにつきしっかりした品質システムを有していることを明確にすることが求められることとなる。
 なお、品質システムとは、品質管理を実施するために必要となる組織構造、手順、プロセス及び経営資源のことをいう。
 事実、国際的ビジネスことにEUとのビジネスにおいてはISO9001の認証取得は、大事なファクターの一つであるといえる。
 すなわち、ISO9001認証取得の動機は
 1.海外取引・海外進出
 2.競争企業との差別化
 3.社内の品質保証の確保
 4.契約上有利
  等があげられる。

 しかし、反面
 1.社内の研修費、コンサルタント費、審査登録機関への支払い等々
 2.マニュアルをはじめとした文書量がふえる
 3.随時改定をしなければならない
  等のデメリットもある。

 もちろん、品質システムのマニュアル化、文書化の徹底により安定した品質の 製品やサービスの提供が維持できるが、決して品質のレベルを保証するものでは ないし、定期的サーベイランス(定期審査)の受審を必要とする。
 なお、ISO9001認証取得の成功の為のファクターは
 1.認証取得をするという経営トップの強い意思決定
 2.社員、従業員向けの認証取得の明確な目的の明示
 3.認証取得の対象(どこの支店、どこの工場、どこの事業所)
  の範囲の決定
  等があげられる。  その結論として、
 @顧客満足度を意識した経営が、
 Aお客様に喜ばれる結果をうみ、
 B売上や当期利益の最大化をもたらし、
 C株主、社員、役員等々のステークホルダーの満足度の向上を
  実現し
 D永続企業として生き残り
 E社会貢献の責を担うという好循環サイクルを廻すことが可能
  となる。

(2)ISO 14001
   ISO14001は、当該企業が環境管理システム規格を有している
 かどうかということであり、すなわち、企業が自主的に環境へ
 の負荷を低減するようなシステムを構築することにより水質汚
 濁、大気汚染、二酸化炭素排出、オゾン層の破壊等々の対策の
 実施により顧客からの評価を受けなければならない。

 すなわち認証取得に向け
 1.環境対策方針の立案とその実施についてトップダウンで!!
 2.環境管理の体制とマニュアルの作成
 3.環境管理目標値の設定

 等が必要となり、その結果、海外取引の拡大メリット、企業イメージの向上メリット、 コスト削減メリット等の享受により(1)ISO 9001で記述した好循環サイクルを廻すことが可能となる。

 

 I T など
本年4月1日より改正民法が施行されております。 

大きな2つの整備がなされており、
その第1が
保証契約の適正化すなわち、保証人が過大な責任を負いがちな保証契約(特に根保証契約)についてその契約内容を適正化するための整備であります。
第2には
民法の現代語化への整備であり、民法を国民に理解しやすいものとするため、その文体や用語の現代語化が行なわれました。

1. 改正法の要点

(1)保証契約の適正化
融資に関する根保証契約を締結した個人の保証人を保護するため改正されました。
これまでも、根保証契約は、中小企業が融資を受ける際の代表者の個人保証などに多用されてきました。
しかし、旧民法の下ではその契約内容をどのように定めるかについて制限がなく、金額・期間について無制限に責任を負う 場合もあり(包括根保証契約)、保証人が過大な責任を負いがちであると指摘されていました。
このため、保証人が負担する責任を予測可能な範囲に限定するなど、根保証契約の適正化を図るため、 次の様な措置が講じられました。

@極度額(限度額)の定め
極度額の定めのない根保証契約を無効としています。
今回の措置の対象となっているのは、主たる債務の範囲に融資に関する債務が含まれており、 かつ保証人が個人であるものに限られています。
このような根保証契約(貸金等根保証契約)であって極度額を定めていないものは、 その契約が無効となります。

A元本確定期日(保証期間の制限)
根保証をした保証人は、元本確定期日までの間に行われた融資に限って保証債務を負担する こととしています。
この元本確定期日は、契約で定める場合には契約日から5年以内、契約で定めていない場合には 契約日から3年後の日となります。
貸金等根保証契約について、契約日から5年を超える元本確定期日を定めると、その期日の定めが 無効となります。
この場合には、元本確定期日の定めがないことになりますので、契約日から3年後の日が元本確定期日 ということになります。
なお、根保証契約の締結後に、当初定めていた元本確定期日を先に延ばす変更をすることは可能です。
しかし、この変更をするには債権者と保証人の合意が必要であり、また,変更後の元本確定期日は、 その変更をした日から5年以内の日でなければなりません。
また、改正法の施行前(平成17年4月1日)に締結された貸金等根保証契約は、無効にはなりません。
ただし、改正法の施行後3年が経過しても元本が確定しないものは、3年を経過する日に自動的に元本が確定する という経過措置が設けられていますので、改正法の施行前に締結された貸金等根保証契約の保証人は、元本が確定した後の 融資については保証債務を負わないことになります。

B元本確定事由
主たる債務者や保証人が、強制執行を受けた場合、破産手続開始の決定を受けた場合、死亡した場合には、 根保証をした保証人はその後に行われた融資については保証債務を負担しないこととしています。

C書面の作成(※すべての保証契約が対象)
根保証契約を含む保証契約は、契約書などの書面によってしなければ無効になります。


(2)民法の現代語化

@文体の平仮名 ・ロ語化
これまで片仮名、文言吾体であった文体を、親しみやすい平仮名・ロ語体の文体に改めています。

A用語の平易化
現代では用いられていない用語を、平易なものに置き換えています。

B各条文に見出しがつけられました。
これまであった見出しは、法令中にはなかったもので、参考として出版社等が記述していたものです。

参考:法務省資料
民法の一部を改正する法律の概要
(平成17年4月1日施行)

(3)主な改正条文

(保証人の責任等) 第446条  保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。
2 保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。
3 保証契約がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識する ことができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)によって されたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。

説    明
 新民法では、契約につき電磁的記録を含めて、書面にしなければならなくなりました。


(貸金等根保証契約の保証人の責任)
第465条の2  一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(以 下「根保証契約」という。) であってその債務の範囲に金銭の貸渡し又は手形の割引を受けることによって負担する債務(以下「貸金等債務」という。)が 含まれるもの(保証人が法人であるものを除く。以下「貸金等根保証契約」という。)の保証人は、主たる債務の元本、 主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのもの及びその保証債務について約定された違約金 又は損害賠償の額について、その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負う。
2 貸金等根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない。
3 第446条第2項及び第3項の規定は、貸金等根保証契約における第1項に規定する極度額の定めについて準用する。

説    明
第1項
・貸金等債務には、継続的販売契約債務や賃貸契約の保証は含みません。
・保証人が法人であるときを除きます。
第2項
・極度額を設定することで、保証人の責任を金額面で制限できます。また、極度額は、元本だけでなく、 利息、損害金等を含めて設定することになりました。
第3項
・契約につき電磁的記録を含めて、書面にしなければなりません。


(貸金等根保証契約の元本確定期日)
第465条の3  貸金等根保証契約において主たる債務の元本の確定すべき期日(以下「元本確定期日」という。)の 定めがある場合において、その元本確定期日がその貸金等根保証契約の締結の日から5年を経過する日より後の日と 定められているときは、その元本確定期日の定めは、その効力を生じない。
2 貸金等根保証契約において元本確定期日の定めがない場合(前項の規定により元本確定期日の定めがその効力を 生じない場合を含む。)には、その元本確定期日は、その貸金等根保証契約の締結の日から3年を経過する日とする。
3 貸金等根保証契約における元本確定期日の変更をする場合において、変更後の元本確定期日がその変更をした 日から5年を経過する日より後の日となるときは、その元本確定期日の変更は、その効力を生じない。ただし、元本確定期日 の前二箇月以内に元本確定期日の変更をする場合において、変更後の元本確定期日が変更前の元本確定期日から5年以内の日 となるときは、この限りでない。
4 第446条第2項及び第3項の規定は、貸金等根保証契約における元本確定期日の定め及びその変更(その貸金等根保証契約の 締結の日から3年以内の日を元本確定期日とする旨の定め及び元本確定期日より前の日を変更後の元本確定期日とする変更を 除く。)について準用する。

説    明
・保証人の責任を、時間面で制約した。すなわち、確定期日後の元本については保証債務を負担しません。
・保証期間は5年以内と制約し、期日の定めがないものは、3年となります。
・期限の事後的変更は可能です。しかし、自動更新特約は出来ません。
・契約につき電磁的記録を含めて、書面にしなければならなりません。


(貸金等根保証契約の元本の確定事由)
第465条の4  次に掲げる場合には、貸金等根保証契約における主たる債務の元本は、確定する。
一 債権者が、主たる債務者又は保証人の財産について、金銭の支払を目的とする債権についての強制執行 又は担保権の実行を申し立てたとき。ただし、強制執行又は担保権の実行の手続の開始があったときに限る。
二 主たる債務者又は保証人が破産手続開始の決定を受けたとき。
三 主たる債務者又は保証人が死亡したとき。

説    明
・仮差押、滞納処分による差し押えは元本確定事由にならりません。
・死亡の事由が生じたときは、保証人の地位は承継されないのだから、その時に元本が確定することになります。


(保証人が法人である貸金等債務の根保証契約の求償権)
第465条の5  保証人が法人である根保証契約であってその主たる債務の範囲に貸金等債務が含まれるものにおいて、 第465条の2第1項に規定する極度額の定めがないとき、元本確定期日の定めがないとき、又は元本確定期日の定め若しくは その変更が第465条の3第1項若しくは第3項の規定を適用するとすればその効力を生じないものであるときは、その根保証契約の 保証人の主たる債務者に対する求償権についての保証契約(保証人が法人であるものを除く。)は、その効力を生じない。

説    明
・ 根保証人である法人の背後にいる個人保証人の保護のためです。

まとめとして、実務的には、貸し金等の債権者にとって、期日管理、与信管理の重要性が増すこととなり、 一方債務者にとっては、保証人の保証がいつまで得られるか(元本確定期日)、どのくらい得られるか (極度額)等の事項についての課題が増す結果となったとも考えられます。
    

*このホームページの記載内容につきましては、あくまで標準的なものを想定して記述しております。個別ケースによっては、必ずしも前提となる条件が一致しないため、結論が変わってくることも予測されますのでご留意下さい。また、意見の部分は私見ですので、予めご了承くださるようお願いいたします。


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