●フレームにボタンがない場合はトップページからお入りください●
トップページへ
今月の税務・経営トピックス
(2005年9月1日 更新)


バックナンバーへ

税務・会計
譲渡所得の取得費に贈与時の取得費用が追加されました

   平成17年2月に、贈与によって取得したゴルフ会員権の名義書換料が、そのゴルフ会員権 を譲渡した場合の取得費に含まれるかどうかの争いについての最高裁判決があり、そこでは 名義書換料は資産の取得に要した取得費にあたるとの判断がなされました。それに関連して 平成17年6月付で通達も改正されました。
 その所得税基本通達の改正点は「所得税基本通達60贈与等により取得した資産の取得費等」 に新たに「所得税基本通達60−2 贈与等の際に支出した費用」が新設されたというものでした。
 その内容は、贈与等によりその資産を取得した者がその資産を取得するために通常必要と 認められる費用を支出しているときは、その費用のうちその資産に対応する金額については、 「所得税基本通達 37−5固定資産税等の必要経費算入」 及び「所得税基本通達 49−3 減価償却資産に係る登録免許税等譲渡所得の計算」の定めにより各種所得の金額の計算上必要経費 に参入された登録免許税、不動産取得税等を除いて、その資産の取得費に算入できるというものです。
 なお、ここでいう通常必要と認められる費用とは、贈与等により取得した有価証券の通常の名 義書換料や不動産を取得したときの登録免許税・不動産取得税などと考えら、遺産相続の争いが 生じた場合に支払う弁護士等への裁判費用は通常ではないと思われます。そのため、通常必要と 認められる費用は限定されたものになりそうです。


法 律
 株式会社の機関設計がかわります 2  

 第3回目の今回は第2回に引き続き、取締役会を設置しない株式会社 の株主総会についての改正です。
 前回は、締役会を設置しない株式会社の株主総会の改正について、
・株主総会で基本的に全ての事項が決議可能になりました。
・株主総会の招集通知は会日の1週間前まで(定款での短縮可能)で発送が可能になりました。
・株主総会の召集通知には計算書類や監査報告書の添付が不要になりました。
 との改正をご紹介しました。

 今回はそのほかの取締役会を設置しない株式会社の株主総会における改正点について以下のような ご紹介をいたします。
・株主総会の召集通知は、書面又は電磁的方法以外でもよいことになりました。これにより、 口頭で伝えてもよいということになりますが、争いのもととなりかねませんので、注意が必要です。

・株主総会の召集通知へ会議の目的事項の記載又は記録は不要になりました。

・各株主は、単独株主権として総会における議題提案権があります。

・株主は2個以上の議決権を持つ場合、権利を統一しないで行使することができます。 その場合には、総会の3日前までに会社へ書面でその旨及び理由を通知しなければならない 制限がありましたが、その制限が廃止されました。

・6ヵ月前から引き続き総株主の議決権の100分の1以上又は300個以上の議決権を 持つ株主は、取締役に対して会日から8週間前までに書面で一定の事項を総会の決議事項と することを請求できますが、この8週間前という制限は定款をもって短縮することができる ようになりました。

・6ヵ月前から引続いて総株主の議決権の100分の1以上を持つ株主は、総会招集の手続 及びその決議の方法を調査させるために、総会に先立ち検査役の選任を裁判所に請求すること ができますが、株式会社も総会検査役の選任を請求することができるようになりました。 そして、総会検査役は裁判所へその調査報告し、それをを受けた裁判所は必要があれば総会召 集命令のほか、株式会社に対し、その調査結果の内容を総株主に対して通知(広告は不可) するよう命令することができます。なお業務財産調査検査役についても同様の取り扱いとなります。

・株主総会の召集地について、従来は定款に別段の定がある場合を除いて、本店の所在地又は これに隣接する地で招集する必要がありましたが、この召集地の制限が廃止されました。 それにより、定款に召集地の定めがない場合は、上記のような株主からの召集請求による裁 判所の許可を得た召集では、会社にとって都合が悪い場所で株主総会を開催することになる 場合もありえますので、そうならないためにも事前に定款に召集地を明記しておくことが必要 となります。

・書面による投票制度の義務付けの範囲が、議決権を有する株主数が1,000人以上の大会社で あったのですが、株主に広く議決権行使の機会を与えるという趣旨から、大会社という制 限がなくなり、議決権を有する株主数が1,000人以上のすべての株式会社となりました。

・書面による投票制度が義務付けられる株式会社は、召集通知を電磁的方法(インターネット でのメールを利用した通知など)により受け取ることを承諾した株主に対しては、原則として 議決権行使書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供すればよく、議決権行使の書面の交付 は必要ないこととなりました。ただし、この場合でも株主からの請求があるときは議決権行使書 面の交付が必要になります。
 また、これにより議決権行使書面等への記載を要件として、書面投票と電磁的投票で議決 権が重複行使された場合にはどちらの議決権行使を有効とするかをあらかじめ定めることや、 電子投票の期限が現行では総会の前日の24時となっていることを合理的な定めにより変更する ことができるようになりました。




人事・労務
日米社会保障協定

   平成17年10月1日に「社会保障に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定」が発効となりました。
 日米いずれか一方の国の社会保険保障制度のみの加入になり、日米両国の年金・医療保険制度の二重加入が解消されます。
 日米両国の年金加入期間を互いに通算することができますので、年金の受給要件を満たせば、それぞれの国から年金が給付されます。
(日本からアメリカ合衆国に来て就労される方)
 日本の社会保障制度に継続して加入し、アメリカの社会保障制度への加入を免除されるためには、日本の社会保障制度 (年金・医療保険制度)に加入していることを証明する「適用証明書」の交付を社会保険事務所から受ける必要があります。
 なお、この「適用証明書」の交付を受けるためには、以下の条件を全て満たす必要があります。
 1.日本の年金・医療保険制度に加入していること
 2.日本の事業所との雇用関係が継続していること
 3.派遣期間が5年以内と見込まれる場合であること
 4.アメリカに派遣される直前に、原則として6ヶ月以上継続して日本で雇用され就労していたこと

社会保険料(国民年金保険料)控除証明書等


 平成17年分の所得から、国民年金保険料に係る社会保険料控除を受ける際には、確定申告又は年末調整の際に納付した ことを証明する書類(社会保険庁や各国民年金基金が発行した保険料等の領収書や証明書)を添付等しなければならないこととなりました。
 生命保険会社等が発行する控除証明書と同様の「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」を発行されます。
 国民年金保険料は全額が社会保険料控除の対象となります。

 

経 営
 ISOを考える 

 I S O(International Organization for Standardization 国際標準化機構) を考える。
  ISO 9001 & ISO 14001 とは!

(1)ISO 9001 
   顧客は、品質マニュアルの整備がされることで、安定した製品やサービスの供給できる、 すなわち品質システムの確立した企業を期待している。
   よって、企業側は顧客のこのような要求に対応すべく、ISO9001の認証取得をすることにより、 製品、サービスにつきしっかりした品質システムを有していることを明確にすることが求められることとなる。
 なお、品質システムとは、品質管理を実施するために必要となる組織構造、手順、プロセス及び経営資源のことをいう。
 事実、国際的ビジネスことにEUとのビジネスにおいてはISO9001の認証取得は、大事なファクターの一つであるといえる。
 すなわち、ISO9001認証取得の動機は
 1.海外取引・海外進出
 2.競争企業との差別化
 3.社内の品質保証の確保
 4.契約上有利
  等があげられる。

 しかし、反面
 1.社内の研修費、コンサルタント費、審査登録機関への支払い等々
 2.マニュアルをはじめとした文書量がふえる
 3.随時改定をしなければならない
  等のデメリットもある。

 もちろん、品質システムのマニュアル化、文書化の徹底により安定した品質の 製品やサービスの提供が維持できるが、決して品質のレベルを保証するものでは ないし、定期的サーベイランス(定期審査)の受審を必要とする。
 なお、ISO9001認証取得の成功の為のファクターは
 1.認証取得をするという経営トップの強い意思決定
 2.社員、従業員向けの認証取得の明確な目的の明示
 3.認証取得の対象(どこの支店、どこの工場、どこの事業所)
  の範囲の決定
  等があげられる。  その結論として、
 @顧客満足度を意識した経営が、
 Aお客様に喜ばれる結果をうみ、
 B売上や当期利益の最大化をもたらし、
 C株主、社員、役員等々のステークホルダーの満足度の向上を
  実現し
 D永続企業として生き残り
 E社会貢献の責を担うという好循環サイクルを廻すことが可能
  となる。

(2)ISO 14001
   ISO14001は、当該企業が環境管理システム規格を有している
 かどうかということであり、すなわち、企業が自主的に環境へ
 の負荷を低減するようなシステムを構築することにより水質汚
 濁、大気汚染、二酸化炭素排出、オゾン層の破壊等々の対策の
 実施により顧客からの評価を受けなければならない。

 すなわち認証取得に向け
 1.環境対策方針の立案とその実施についてトップダウンで!!
 2.環境管理の体制とマニュアルの作成
 3.環境管理目標値の設定

 等が必要となり、その結果、海外取引の拡大メリット、企業イメージの向上メリット、 コスト削減メリット等の享受により(1)ISO 9001で記述した好循環サイクルを廻すことが可能となる。

 

 I T など
本年4月1日より改正民法が施行されております。 

大きな2つの整備がなされており、
その第1が
保証契約の適正化すなわち、保証人が過大な責任を負いがちな保証契約(特に根保証契約)についてその契約内容を適正化するための整備であります。
第2には
民法の現代語化への整備であり、民法を国民に理解しやすいものとするため、その文体や用語の現代語化が行なわれました。

1. 改正法の要点

(1)保証契約の適正化
融資に関する根保証契約を締結した個人の保証人を保護するため改正されました。
これまでも、根保証契約は、中小企業が融資を受ける際の代表者の個人保証などに多用されてきました。
しかし、旧民法の下ではその契約内容をどのように定めるかについて制限がなく、金額・期間について無制限に責任を負う 場合もあり(包括根保証契約)、保証人が過大な責任を負いがちであると指摘されていました。
このため、保証人が負担する責任を予測可能な範囲に限定するなど、根保証契約の適正化を図るため、 次の様な措置が講じられました。

@極度額(限度額)の定め
極度額の定めのない根保証契約を無効としています。
今回の措置の対象となっているのは、主たる債務の範囲に融資に関する債務が含まれており、 かつ保証人が個人であるものに限られています。
このような根保証契約(貸金等根保証契約)であって極度額を定めていないものは、 その契約が無効となります。

A元本確定期日(保証期間の制限)
根保証をした保証人は、元本確定期日までの間に行われた融資に限って保証債務を負担する こととしています。
この元本確定期日は、契約で定める場合には契約日から5年以内、契約で定めていない場合には 契約日から3年後の日となります。
貸金等根保証契約について、契約日から5年を超える元本確定期日を定めると、その期日の定めが 無効となります。
この場合には、元本確定期日の定めがないことになりますので、契約日から3年後の日が元本確定期日 ということになります。
なお、根保証契約の締結後に、当初定めていた元本確定期日を先に延ばす変更をすることは可能です。
しかし、この変更をするには債権者と保証人の合意が必要であり、また,変更後の元本確定期日は、 その変更をした日から5年以内の日でなければなりません。
また、改正法の施行前(平成17年4月1日)に締結された貸金等根保証契約は、無効にはなりません。
ただし、改正法の施行後3年が経過しても元本が確定しないものは、3年を経過する日に自動的に元本が確定する という経過措置が設けられていますので、改正法の施行前に締結された貸金等根保証契約の保証人は、元本が確定した後の 融資については保証債務を負わないことになります。

B元本確定事由
主たる債務者や保証人が、強制執行を受けた場合、破産手続開始の決定を受けた場合、死亡した場合には、 根保証をした保証人はその後に行われた融資については保証債務を負担しないこととしています。

C書面の作成(※すべての保証契約が対象)
根保証契約を含む保証契約は、契約書などの書面によってしなければ無効になります。


(2)民法の現代語化

@文体の平仮名 ・ロ語化
これまで片仮名、文言吾体であった文体を、親しみやすい平仮名・ロ語体の文体に改めています。

A用語の平易化
現代では用いられていない用語を、平易なものに置き換えています。

B各条文に見出しがつけられました。
これまであった見出しは、法令中にはなかったもので、参考として出版社等が記述していたものです。

参考:法務省資料
民法の一部を改正する法律の概要
(平成17年4月1日施行)

(3)主な改正条文

(保証人の責任等) 第446条  保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。
2 保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。
3 保証契約がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識する ことができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)によって されたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。

説    明
 新民法では、契約につき電磁的記録を含めて、書面にしなければならなくなりました。


(貸金等根保証契約の保証人の責任)
第465条の2  一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(以 下「根保証契約」という。) であってその債務の範囲に金銭の貸渡し又は手形の割引を受けることによって負担する債務(以下「貸金等債務」という。)が 含まれるもの(保証人が法人であるものを除く。以下「貸金等根保証契約」という。)の保証人は、主たる債務の元本、 主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのもの及びその保証債務について約定された違約金 又は損害賠償の額について、その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負う。
2 貸金等根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない。
3 第446条第2項及び第3項の規定は、貸金等根保証契約における第1項に規定する極度額の定めについて準用する。

説    明
第1項
・貸金等債務には、継続的販売契約債務や賃貸契約の保証は含みません。
・保証人が法人であるときを除きます。
第2項
・極度額を設定することで、保証人の責任を金額面で制限できます。また、極度額は、元本だけでなく、 利息、損害金等を含めて設定することになりました。
第3項
・契約につき電磁的記録を含めて、書面にしなければなりません。


(貸金等根保証契約の元本確定期日)
第465条の3  貸金等根保証契約において主たる債務の元本の確定すべき期日(以下「元本確定期日」という。)の 定めがある場合において、その元本確定期日がその貸金等根保証契約の締結の日から5年を経過する日より後の日と 定められているときは、その元本確定期日の定めは、その効力を生じない。
2 貸金等根保証契約において元本確定期日の定めがない場合(前項の規定により元本確定期日の定めがその効力を 生じない場合を含む。)には、その元本確定期日は、その貸金等根保証契約の締結の日から3年を経過する日とする。
3 貸金等根保証契約における元本確定期日の変更をする場合において、変更後の元本確定期日がその変更をした 日から5年を経過する日より後の日となるときは、その元本確定期日の変更は、その効力を生じない。ただし、元本確定期日 の前二箇月以内に元本確定期日の変更をする場合において、変更後の元本確定期日が変更前の元本確定期日から5年以内の日 となるときは、この限りでない。
4 第446条第2項及び第3項の規定は、貸金等根保証契約における元本確定期日の定め及びその変更(その貸金等根保証契約の 締結の日から3年以内の日を元本確定期日とする旨の定め及び元本確定期日より前の日を変更後の元本確定期日とする変更を 除く。)について準用する。

説    明
・保証人の責任を、時間面で制約した。すなわち、確定期日後の元本については保証債務を負担しません。
・保証期間は5年以内と制約し、期日の定めがないものは、3年となります。
・期限の事後的変更は可能です。しかし、自動更新特約は出来ません。
・契約につき電磁的記録を含めて、書面にしなければならなりません。


(貸金等根保証契約の元本の確定事由)
第465条の4  次に掲げる場合には、貸金等根保証契約における主たる債務の元本は、確定する。
一 債権者が、主たる債務者又は保証人の財産について、金銭の支払を目的とする債権についての強制執行 又は担保権の実行を申し立てたとき。ただし、強制執行又は担保権の実行の手続の開始があったときに限る。
二 主たる債務者又は保証人が破産手続開始の決定を受けたとき。
三 主たる債務者又は保証人が死亡したとき。

説    明
・仮差押、滞納処分による差し押えは元本確定事由にならりません。
・死亡の事由が生じたときは、保証人の地位は承継されないのだから、その時に元本が確定することになります。


(保証人が法人である貸金等債務の根保証契約の求償権)
第465条の5  保証人が法人である根保証契約であってその主たる債務の範囲に貸金等債務が含まれるものにおいて、 第465条の2第1項に規定する極度額の定めがないとき、元本確定期日の定めがないとき、又は元本確定期日の定め若しくは その変更が第465条の3第1項若しくは第3項の規定を適用するとすればその効力を生じないものであるときは、その根保証契約の 保証人の主たる債務者に対する求償権についての保証契約(保証人が法人であるものを除く。)は、その効力を生じない。

説    明
・ 根保証人である法人の背後にいる個人保証人の保護のためです。

まとめとして、実務的には、貸し金等の債権者にとって、期日管理、与信管理の重要性が増すこととなり、 一方債務者にとっては、保証人の保証がいつまで得られるか(元本確定期日)、どのくらい得られるか (極度額)等の事項についての課題が増す結果となったとも考えられます。
    

*このホームページの記載内容につきましては、あくまで標準的なものを想定して記述しております。個別ケースによっては、必ずしも前提となる条件が一致しないため、結論が変わってくることも予測されますのでご留意下さい。また、意見の部分は私見ですので、予めご了承くださるようお願いいたします。


Copyright (C) 元橋税務会計事務所
株式会社 エムエフマネジメント
mfm@mud.biglobe.ne.jp
All rights reserved.