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今月の税務・経営トピックス
(2005年4月1日更新)


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税務・会計
所得税の大幅な見直しが検討されます

   政府の税制調査会(以下、政府税調とします。)では今年の4月から所得税の大幅な改正に 向けて議論を始めるとの新聞記事をご覧になられた方もおられるとおもいます。
 それによると目玉は所得控除体系の整理や統合で、例としては子育て支援のための扶養控除の 引上げや、共稼ぎ世帯の増加に伴い基礎控除は拡大して専業主婦に対する優遇措置である 配偶者控除を縮小するなどであり、他にも、所得区分の見直しや税率についても議論を進める ということです。
 このような税制改正については、まず政府税調が審議し毎年秋に翌年の改正に向けて答申を 出すことになりますが、現時点で決まっている定率減税の廃止や選挙もからむことから、 この所得税改正は2007年度からとなる見込みです。
 やはり、財務省の影響力が大きい政府税調では国の借金を早く解消したいためか減税ではなく 増税が基本的なスタンスとなっているようです。ちなみに、税制改正はこのような政府税調の答申を 受けて、国会議員から構成される自民党税調が実質的にとりまとめるので、まずはこの秋の答申の 内容を注視したいところです。


法 律
 商法が大きく変わります 

 新会社法(仮称)が平成18年4月から施行される予定です。
 商法は、平成9年以降の度重なる部分的な改正のため全体的な整合性を図る必要が生じており、 また最近の社会情勢の変化に対応する必要もあり、今回の抜本的な改正となりました。
 大きな変化ということは、形式的には、カタカナ文語体からひらがな口語体に変え、さらに用語を整理して 解釈をしやすくし、商法・有限会社法・商法特例法を一つの会社法にまとめられることからもわ かりますし、実質的には企業統治の実効性の確保や資金調達手段の改善、企業活動の国際化への 対応のためのさまざまな改正内容からもわかります。
 そこで、会社法における実質的な改正内容のポイントを今回からご紹介していきたいと 思います。
 第1回目は、会社の設立における改正点です。

★株式会社の最低資本金の規制がなくなりました★

 会社設立時において、従来は株式会社なら1,000万円、有限会社なら300万円の最低資本金を用 意しなければなりませんでしたが、今回の改正により、この最低資本金の規制が廃止され1円でも 会社を設立できるようになります。
 これにより、少額の資金でも起業ができるようになるため、いままで最低資本金が障害となり起業で きなかった場合でも起業が活発に行われると予想されます。
 また、会社設立における手続きも容易になっており、従来必要であった銀行等の発行 する保管証明が発起設立の場合においては不要になり、かわりに残高証明で済むこととなりました。それに より従来は払込から設立まで資金を使うことができなかったのが、改正後は払い込まれた事実が あればよく、払い込まれた後ならば設立前でも預金等の引き出すことが可能になります。ただし、 募集設立においては、従来どおり保管証明が必要となっております。
 そのほかにも、金銭ではなく不動産、有価証券、債権等をもって会社を設立する現物出資において、 本当にその価値が妥当なものかなどを検査する検査役の調査を、その財産の金額が 500万円以下の場合には不要としております。また、現物出資とはしなかったが、会社が設立前からある 営業上の財産を設立後に買い取る事後設立においても、検査役の調査が不要とされるなど、 手続きの簡素化、スピード化がはかられて おります。
 ちなみに、この1円設立株式会社は平成15年2月から施行された新事業創出促進法のもとでもありま した。この場合には設立後5年以内に株式会社のままなら1,000万円へ、有限会社に変更するなら 300万円へ増資できなければ解散扱いとされるため、存続するためには1,000万円又は300万円が必要でした。
 このように最低資本金規制の撤廃の背景には、起業を活発にすることがありますが、その他にも 設立のためになんとか一時的に資金を工面してしまえば、その後商法の目的である債権者保護の 観点から最低限会社へ維持しておくことが求められていた資本金に対応する資金等をすぐに払いだすことも できてしまっていたことから、名目上の最低資本金規制を撤廃し、実情に合わせたともいえます。
 しかし、配当等を行うには、資本金ではなく資産から負債を差引いた純資産が300万円以上必要と なるようです。


人事・労務
 平成17年4月から雇用保険料率が引き上げられます   


            雇用保険料率 事業主負担分 被保険者負担分
 一般の事業     19.5/1000   11.5/1000     8/1000
 農林水産業他    21.5/1000   12.5/1000     9/1000
 建設業        22.5/1000   13.5/1000     9/1000

 一般保険料額表(雇用保険)が廃止され、被保険者の方が負担すべき雇用保険料額は、被保険者の方の賃金総額に上記の表の被保険者負担分の率を乗じて得た額となります。
被保険者負担額に1円未満の端数が生じた場合、「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」(昭和62年法律第42号)により端数処理を行なうこととなりますが、被保険者の負担方法によって端数処理の方法が異なります。
 しかし端数処理の取扱いは、労使の間で慣習的な取扱い等の特約がある場合にはこの限りではなく、例えば、従来切り捨てで行われていた場合、引き続き同様の取扱いを行ったとしても差し支えありません。
 平成17年3月(4月控除分)介護保険料率が引き上げられます 


 政管健保被保険者は、平成17年3月(4月控除分)から介護保険料率が「11.1/1000」から「12.5/1000」と引き上げられます。それによって健康保険・介護保険の合計保険料率は「93.1/1000」から「94.5/1000」に変わります。
 なお、健康保険料率の「82/1000」は、変更ありません。
国民年金の第3号被保険者の特例の届出の実施  


 第3号被保険者とは、会社員に扶養されている配偶者、要は専業主婦などのことをいいます。
 これまでは、第3号被保険者が届出を出し忘れ、気付いてから届け出ても2年間しかさかのぼることができず、2年以上前の期間は「保険料未納期間」とされ、年金額に反映されませんでした。
 しかし、この4月1日より昭和61年4月以降の期間を第3号被保険者として取り扱うこととなりました。
   この制度は、まだ年金を受け取っていない人だけではなく、今現在年金を受給している人も対象になります。届けでを行い「保険料未納期間」を「保険料納付済期間」 とされたときは、届け出の翌月から年金額が増額される人もいます。  この届出については、期限は設けられていません。
 なお、平成17年3月までに第3号被保険者該当の届出があり、社会保険庁において第3号被保険者に該当していながら2年以上前の期間について「保険料未納期間」として扱われている方については、特例の届出は必要ありません。
 該当する人については、既に特例の届出も行われているものとみなして、自動的に保険料納付済の期間への変更を行い、社会保険業務センターから平成17年4月中旬以降、お知らせを送付するとのことです。

経 営
 経営の成熟度の評価 

 経営は社会システムである。その社会システムの特徴は、自分の意志で新たな性質を開発し、自己を変革させる能力を持つことにある。
 その社会システムとしての経営組織の成熟度が高い組織ほど、自分の意志で新たな性質を開発し、自己を変革させる能力が高いといえる。
 ゆえに、経営組織の現状の成熟度を測定し、成熟度レベルを高めることが重要である。
 そこで、経営組織の成熟度を、レベルに分けて評価する尺度として次に示す成熟度モデルが使用される。

  1.マルコム・ボルドリッヂ賞
  2.クロスビーの成熟度モデル
  3.CMM (Capability Maturity Model)
  4.日本経営品質賞  等

 日本経営品質賞は、経営を行う上での理念を4項目示している。
  1.顧客本位
   企業の保有する経営資源を活用して最大の満足を感じる
   顧客が評価する価値を提供する。

  2.独自能力
   他社とは質の異なる差別化された価値を提供するための能力を
   持つこと

  3.社員重視
   社員一人一人の尊厳を守り、独創性と知識創造を高めることが
   必要である。

  4.社会との調和
   企業も社会を構成する一員であるので、自己中心的であった
   り、倫理性を失ったり、環境対策が十分でなかったりする事
   等のないようにしなければならない。

 また、日本経営品質賞は、前述した理念に基づく「基本的な考え方」として11項目の経営上の重要な関心事を構成している。

  1.クオリティ
  2.リーダーシップ
  3.プロセス
  4.「知」の創造と活用
  5.時間とスピード
  6.パートナーシップ
  7.「環境保全」
  8.「事実に基づく経営」
  9.「グローバリゼイション」
  10.「フェアネス」
  11.「イノベーション」

結 論

 経営の成熟度の評価(例えば「日本経営品質賞」)を通じて、経営組織は現状把握を実施し、その後、評価されたレベルより上位のレベルの目標設定をし、そして実現を通じて、経営品質向上のための改善、革新を継続的に行なわなければ、激しい生き残りのための競争に勝利することは出来ない。

 I T
 ITに関連した略語 

 今回は、ITに関連して最近特によく目にする、略語について少数ですが、記述致しますので、参考にしてください。

ASP(Application Service Provider)
 インターネットを通じて業務システムサービスを提供する事業者

ERP(Enterprise Resource Planning)
 企業の重要な経営資源の人、物、金を全体最適に配分する経営手法

SCM(Supply Chain Management)
 企業活動における資材調達から生産・物流・販売までの全体最適を実現する仕組み。

TCO(Total Cost of Ownership)
 情報システムを導入・維持するのにかかる総費用。ハードの直接費用だけでなく、利用者の時間の浪費までも加味して算定する。

EDLP(Every Day Low Price)
 米ウォルマート・ストアーズが始めた戦略で、店舗にある商品全てが、いつでも安く入手できること。

XBRL(Extensible Business ReportingLanguage)
 企業の財務データなどの記述言語。企業の信用リスク情報の蓄積や金融機関による利用がしやすくなる。

BPO(Business Process Outsourcing)
 システムの開発運用だけでなく、業務(営業、人事、経理、総務等)分野まで外部企業に委託することで、経営資源の集中・効率を図る。

CMS(Cash Management System)
 企業の複数の部署の行う振込みや、保有する銀行口座を一元管理し、コストの削減を図る。

CIO(Chief Information Officer)
 情報処理担当役員。企業の戦略を情報システムに反映する役割を担う役員。
  参考 CEO(最高経営責任者)・CFO(最高財務責任者)・
       CSO(最高戦略責任者)

KPI(Key Performance Indicator)
 重要業績指標。業務やプロセスを定量的に管理するための尺度。

KGI(Key Goal Indicator)
 経営の主要成果目標と目標を評価する為の評価基準。企業のビジョンや戦略により策定された施策が達成すべきゴールである。

BPR(Business Process Re−engineering)
   企業の経営体質変革のための方法論であり、体質改善や企業風土改革につなげるマネジメント手法。

CSF(Critical Success Factor)
 重要(主要)成功要因。これら要件の達成により、結果として競争の優位性が確保できる。

EVMS(Earned Value Management System)
 プロジェクトの進捗状況を測定する手法。予算数値と実績数値を比較して、コストとスケジュールの進捗状況が、計画通りかの測定をし、完成時のコストの予測をする。

RFP(Request For Proposal)
 提案書提出の要求のこと。情報システム構築のため、必要な要件を明確にし、その要件を満足させる為のIT資源調達をベンダーに提案依頼をすること。

*このホームページの記載内容につきましては、あくまで標準的なものを想定して記述しております。個別ケースによっては、必ずしも前提となる条件が一致しないため、結論が変わってくることも予測されますのでご留意下さい。また、意見の部分は私見ですので、予めご了承くださるようお願いいたします。


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