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●税務・会計
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昨年は、台風、地震による被害が多発した年でした。これに対して税務上でも担税力の減少を考慮する規定が設けられております。
よって、今回は所得税における災害による担税力の減少を考慮した規定について簡単にご説明いたします。
★事業用資産に対して災害により損失が生じた場合★
事業用資産が災害により取壊しや除却、滅失することとなり損失が生じた場合には、その損失の金額はその事業の必要経費に算入することとされています。(規模が小さい貸付不動産の損失を不動産所得の必要経費とすることも認められます。)
この場合の損失の金額は、資産の取得価額のうちまだ経費となっていない部分(未償却残額)から災害後の事業用資産の時価と廃材の時価、保険金を差引いた金額となります。
また、この事業用資産を原状回復した場合には、それにかかった経費のうち、未償却残額から災害発生後の時価を控除した金額までは経費とせずに資産を購入したと考え、残りは必要経費とします。
★居住用の住宅や規模の小さい貸付住宅に対して災害により
損失が生じた場合★
居住用住宅や規模の小さい貸付住宅について生じた損失は雑損控除の対象となり、所得の合計金額から所得控除として控除できます。
この場合の損失の金額は、災害発生前の時価から発生後の時価を差引き、これに後片付け費用等を加算し、保険金をそこから差引いた金額となります。
ただし、この損失の金額すべてが雑損控除の対象となるのではなく、損失の金額から所得の合計金額の10%等を差引いた額が対象となります。(実際はもうすこし詳細な計算をします。)
★別荘、宝石などの資産に対して災害により損失が生じた場合★
別荘や宝石などの通常の生活では必要でないと税務上判断される資産については、災害発生時の価額を計算し、そこから保険金を差引いた金額を譲渡所得から差引くことができます。
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●法 律 |
商法改正により会社が出資者へ株券を発行しないで済むようになりました。
(出資者の多い上場企業などは、定款を変更して株券を不発行とするようにしたものとみなされるようになっております。)
この改正前は、原則として株式会社は株券を発行しなくてはなりませんでした。そのため株券の発行には印刷代等が必要であり、時間もかかってしまうため、合併や分割など企業を再編するには問題があり、株式の譲渡を制限される会社では現実に株券を発行していない状況がありました。
そこで、このような状況を踏まえ株式会社は定款に株券を発行しないと定めることができるようになり、出資者へ株券を発行しなくても済むようになりました。 これにより、当事者間での合意で出資者と会社との関係が成立するため、株主名簿へ名前が記載されることで株主と認められることになりました。
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●人事・労務 |
被保険者の報酬が、昇給、降給等で大幅に変わったときは、定時決定(算定基礎)をまたずに標準報酬月額が改定されます。
これを随時改定と言います。随時改定は、以下の3項目すべてに該当するときに行われます。
(1) 固定的賃金の変動※または、賃金(給与)体系の変更があった
場合。
(2) 変動月からの3カ月の間に支払われた報酬の平均月額に該当
する標準報酬と従来の標準報酬との間に2等級以上の差が生じ
た場合。
(3) 変動月以降3カ月とも支払基礎日数が20日以上だった場合。
事業主は、随時改定の該当者がいるときは「月額変更届」を変動月以後の3カ月の報酬月額を提出することになっています。
例えば、1月に昇給した場合、1月、2月、3月の3カ月間に支払った標準報酬月額と平均額を3カ月後の4月以降に提出します。
4月より新しい標準報酬月額に変更します。(4月からということは、実際には、社会保険料は前月の分を給与で天引しているので5月の給与から社会保険料が変わるということです。)
2等級の差があっても、固定的な手当が変動していない場合には、対象には なりません。
※固定的な手当ての変動とは
昇給や 降給によるベースアップ・ベースダウン。
給与体系の変更。日給から月給への変更やその逆の場合。
日給や時間給の基礎単価の変更。
請負給、歩合給等の単価、歩合率の変更。
役付手当、家族手当、住宅手当等、毎月変わらず支払うもの
に変更があった場合。
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●経 営 |
経営は社会システムである。その社会システムの特徴は、自分の意志で新たな性質を開発し、自己を変革させる能力を持つことにある。
その社会システムとしての経営組織の成熟度が高い組織ほど、自分の意志で新たな性質を開発し、自己を変革させる能力が高いといえる。
ゆえに、経営組織の現状の成熟度を測定し、成熟度レベルを高めることが重要である。
そこで、経営組織の成熟度を、レベルに分けて評価する尺度として次に示す成熟度モデルが使用される。
1.マルコム・ボルドリッヂ賞
2.クロスビーの成熟度モデル
3.CMM (Capability Maturity Model)
4.日本経営品質賞 等
日本経営品質賞は、経営を行う上での理念を4項目示している。
1.顧客本位
企業の保有する経営資源を活用して最大の満足を感じる
顧客が評価する価値を提供する。
2.独自能力
他社とは質の異なる差別化された価値を提供するための能力を
持つこと
3.社員重視
社員一人一人の尊厳を守り、独創性と知識創造を高めることが
必要である。
4.社会との調和
企業も社会を構成する一員であるので、自己中心的であった
り、倫理性を失ったり、環境対策が十分でなかったりする事
等のないようにしなければならない。
また、日本経営品質賞は、前述した理念に基づく「基本的な考え方」として11項目の経営上の重要な関心事を構成している。
1.クオリティ
2.リーダーシップ
3.プロセス
4.「知」の創造と活用
5.時間とスピード
6.パートナーシップ
7.「環境保全」
8.「事実に基づく経営」
9.「グローバリゼイション」
10.「フェアネス」
11.「イノベーション」
結 論
経営の成熟度の評価(例えば「日本経営品質賞」)を通じて、経営組織は現状把握を実施し、その後、評価されたレベルより上位のレベルの目標設定をし、そして実現を通じて、経営品質向上のための改善、革新を継続的に行なわなければ、激しい生き残りのための競争に勝利することは出来ない。
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● I T |
今回は、ITに関連して最近特によく目にする、略語について少数ですが、記述致しますので、参考にしてください。
ASP(Application Service Provider)
インターネットを通じて業務システムサービスを提供する事業者
ERP(Enterprise Resource Planning)
企業の重要な経営資源の人、物、金を全体最適に配分する経営手法
SCM(Supply Chain Management)
企業活動における資材調達から生産・物流・販売までの全体最適を実現する仕組み。
TCO(Total Cost of Ownership)
情報システムを導入・維持するのにかかる総費用。ハードの直接費用だけでなく、利用者の時間の浪費までも加味して算定する。
EDLP(Every Day Low Price)
米ウォルマート・ストアーズが始めた戦略で、店舗にある商品全てが、いつでも安く入手できること。
XBRL(Extensible Business ReportingLanguage)
企業の財務データなどの記述言語。企業の信用リスク情報の蓄積や金融機関による利用がしやすくなる。
BPO(Business Process Outsourcing)
システムの開発運用だけでなく、業務(営業、人事、経理、総務等)分野まで外部企業に委託することで、経営資源の集中・効率を図る。
CMS(Cash Management System)
企業の複数の部署の行う振込みや、保有する銀行口座を一元管理し、コストの削減を図る。
CIO(Chief Information Officer)
情報処理担当役員。企業の戦略を情報システムに反映する役割を担う役員。
参考 CEO(最高経営責任者)・CFO(最高財務責任者)・
CSO(最高戦略責任者)
KPI(Key Performance Indicator)
重要業績指標。業務やプロセスを定量的に管理するための尺度。
KGI(Key Goal Indicator)
経営の主要成果目標と目標を評価する為の評価基準。企業のビジョンや戦略により策定された施策が達成すべきゴールである。
BPR(Business Process Re−engineering)
企業の経営体質変革のための方法論であり、体質改善や企業風土改革につなげるマネジメント手法。
CSF(Critical Success Factor)
重要(主要)成功要因。これら要件の達成により、結果として競争の優位性が確保できる。
EVMS(Earned Value Management System)
プロジェクトの進捗状況を測定する手法。予算数値と実績数値を比較して、コストとスケジュールの進捗状況が、計画通りかの測定をし、完成時のコストの予測をする。
RFP(Request For Proposal)
提案書提出の要求のこと。情報システム構築のため、必要な要件を明確にし、その要件を満足させる為のIT資源調達をベンダーに提案依頼をすること。
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