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今月の税務・経営トピックス
2004年6月1日更新


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税務・会計
 欠損金の繰越控除期間が7年になりました (法人税)

   平成16年度改正において、法人税における欠損金の繰越控除期間が改正されました。
 欠損金の繰越控除制度の概要は、当期の法人税法上の所得を計算する上で5年以内の事業年度に おいて生じた欠損金を当期の所得の計算上損金に算入できるというものです。(法人の欠損金は5 年間繰り越せるというものです。)
 改正前は上記の通り欠損金の繰越期間は5年でしたが、平成13年4月1日以降に開始した事業 年度に生じた欠損金は7年間繰り越すことができるようになりました。
 この制度の適用を受けるためには、欠損金が生じた事業年度が青色申告であることと、その後に おいて、その欠損金を損金に算入する事業年度まで連続して白色でも青色でも確定申告書を提出し ていることが必要です。
 また、欠損金が生じた事業年度が白色申告でも、欠損金のうち災害により生じた部分だけは5年か ら7年に繰り越せる期間が延長されました。この災害により生じた欠損金とは、風水害、火災等の災 害により商品や建物等に生じた損失をいい、保険金などで補填される部分の金額は除きます。
 このほかに、法人税法の基準に合致した合併により消滅した法人の有する青色欠損金を、残った 法人において所得の金額の計算上損金に算入できる期間が、5年から7年に延長される改正などが あります。
 

法 律
 倒産等の手続きについて 

 倒産状態に陥った会社や個人が、財産を使い果たしてしまった場合、債務超過や資金不足の場合 は何らかの法的・私的な方法によりそれを解消することが求められます。
 その倒産手続きには以下のようなものがあり、清算型手続と再建型手続があると考えられます。 文字通り清算型は会社等の債権債務を清算し解体することを目的とするものであり、再建型は清算 させずに再建することを目的とするものです。

清算を目的とするもの
 1破産法の破産
 2商法の特別清算

再建を目的とするもの
 1民事再生法の民事再生手続
 2会社更生法の会社更生手続
 3民事調停法の債務調停手続

清算・再建の両方の目的を持つもの
 1商法の会社整理
 2法律によらない私的整理(任意な整理)

これらの特徴は以下のようになっております。

◆清算を目的とするもの◆

破産法の破産
 破産法の対象は法人・個人を問いません。破産法は倒産した場合に最も多く利用される法律であり、ほとん どが個人の破産の場合に用いられるようです。この破産法の破産手続きは、破産申立におより裁判所の破産管 財人が選任され、債権者集会を経た後、配当されます。この破産申立から配当までおおむね1年から2年以上です。

商法の特別清算
 商法の特別清算は、清算中の株式会社のみを対象としており、清算案について出席債権者の過半数かつ総債 権額の4分の3の同意が必要なため、債権者数の少ない会社の清算や、税務対策として子会社の清算に利用さ れています。また、裁判所への予納金は債権額により1万円から200万円と幅がありますが、申し立ての時 点で和解ができていると低額となるようです。ただし、弁護士費用は100万円以上かかると見込まれます。

◆再建を目的とするもの◆

民事再生法の民事再生
 再建型手続のなかではかなり利用されており、和議法の廃止にともなって制定された再建手続きです。
 民事再生は法人・個人を問わず利用でき、管財人は必ずしも必要ではなく、簡易型の民事再生であれば財産 の管理や業務の遂行を従前の取締役がすることができるので、従来の和議法とほぼ同じともいえます。 例外的に従前の取締役の退任もあるので、会社更生法の形を取り入れた和議法ともいえます。従来の和議法では 申し立てまでに和議条件を満たし、再建計画を作成し、弁済期間中の損益計算書の作成を短時間に行わなけれ ば弁済禁止命令を裁判所からもらえないというものでした。それが民事再生法では弁済禁止命令は再建計画の 提出を前提にしておらず、再生手続きの開始申立があった段階で発令されます。そして、裁判所に再生の見込 みがあると認められると再生手続きが開始され、その後も業務を遂行できます。ただし、民事再生でも申立が 棄却または再建が見込まれない場合は裁判所の職権で破産法に従い破産宣告がなされます。

会社更生法の会社更生
 会社更生法は株式会社のみを対象としており、手続きは膨大で大企業を想定して制定されております。会社 更生は民事再生と同じ再建型ですが、対象が株式会社に限定されており、必ず更正管財人が選任され、その管 財人に財産の管理処分が任され、取締役は全員退任しなければなりません。そのため、大企業が取締役の責任 追及を逃れるためにまず民事再生を選択したが、関係者の理解を得られず、取締役にとって責任追及が厳しく なる会社更生に変更する場合があります。

民事調停法の債務調停、特定調停法の特定調停
 民事調停法による債務調停は、個人・法人問わずに利用できます。主に貸し金業者に対する多重債務者の調 停として利用されており、債務者が簡易裁判所に調停手続を申し立てて、支払の猶予や分割払いなどを話し合 い解決するものです。
 特定債務調停法による特定調停は、民事調停をより使いやすくするためにつくられました。そのため、特定 調停は一般の民事調停の例外であり、保証金なしで民事執行手続を停止でき、一括して債務者の住所地などの 裁判所において申し立てることができ、書面により遠隔地の当事者が調停案を受諾できるなどの特例設けられ、 さらに利用しやすくなっております。債権者にも一定の譲歩を求めつつ債務者は債務を支払う調停案をつくり ますが、この調停案を債権者が認めなければ成立しません。

◆清算・再建の両方の目的を持つもの◆
商法の会社整理
 商法に基づく会社整理は対象を株式会社とし、私的整理を法的手続よりおこなうために制定されました。こ の場合、整理案についてほぼ全ての債権者が同意しなければならないので、債権者が少ない企業に利用される ようです。

法律によらない私的整理(任意整理)
 私的整理には清算型と再建型があり、法令によらずに債務者と債権者とで個別に話し合い整理をおこなうも のであるため、コストと時間がかからないので利用が多い整理手続きです。しかし、実際には弁護士費用も払 えない状況も多く、夜逃げ、放置になることもあるようです。
 

人事・労務
国民年金 第三号被保険者の届け出

年金について、次のような場合は届出が必要です。
第一号から第三号の内容は下段に記載しましたので、参考になさってください。

1. 第二号被保険者の人と結婚し、扶養されるようになったときは、第
  三号被保険者になります。
 届出は、第二号被保険者の勤めている会社へ提出します。

 (例)いままで自分で国民年金を納めていた人が、会社員と結婚し
    て扶養家族になった場合
      第一号被保険者  →  第三号被保険者

 (例)会社員であった妻が、結婚して会社員である夫の扶養家族に
    なった場合
      第二号被保険者  →  第三号被保険者

2. 第二号被保険者が会社などを退職したときは、第一号被保険者になります。扶養されていた 配偶者がいれば、配偶者も第一号被保険者になります。
 届出は、本人が市区町村へ提出します。

 (例)会社員であった夫が会社を辞めて、自分で国民年金保険料を
    支払う場合
     夫 第二号被保険者  →  第一号被保険者

 (例)会社員である夫の扶養家族であった妻が、その夫が会社をや
    めて自分で国民年金保険料を払いはじめたことに伴い、妻も
    扶養家族からはずれて自分で国民年金保険料を払う必要が
    ある場合
     妻 第三号被保険者  →  第一号被保険者

3. 第三号被保険者が、離婚や本人の収入がふえるなどで第二号被保険者の配偶者に扶養されな くなったときは第一号被保険者になります。
 届出は、本人が市区町村へ提出します。
 
 (例)会社員の妻であったが、離婚をしたため自分で国民年金保険
    料を支払う必要がある場合
      第三号被保険者  →  第一号被保険者

4. 第二号被保険者が勤務先を変更したときは、改めて第三号被保険者の届け出が必要です。
 届出は、第二号被保険者が新たに勤務する会社へ提出します。

 (例)夫が転職をし別な会社に就職した場合、妻を扶養家族とする
    届出を会社へ改めて提出します。
      第三号被保険者  →  第三号被保険者

 現行制度では、届出忘れに気づいた場合は2年間さかのぼり手続ができます。

上記の第一号から第三号の被保険者とは以下のような人をいいます。

第一号被保険者
二十歳以上六十歳未満の自営業者、学生、フリーターなどで被用者年金制度に 加 入していない人

第二号被保険者
六十五歳未満の会社員、公務員などで、被用者年金制度の被保険者、組合員または 加入者
 
第三号被保険者
第二号被保険者の被扶養配偶者(第二号被保険者の収入により生計を維持するもの) で二十歳以上六十歳未満の人

経 営
 経営の成熟度の評価 

 経営は社会システムである。その社会システムの特徴は、自分の意志で新たな性質を開発し、自己を変革させる能力を持つことにある。
 その社会システムとしての経営組織の成熟度が高い組織ほど、自分の意志で新たな性質を開発し、自己を変革させる能力が高いといえる。
 ゆえに、経営組織の現状の成熟度を測定し、成熟度レベルを高めることが重要である。
 そこで、経営組織の成熟度を、レベルに分けて評価する尺度として次に示す成熟度モデルが使用される。

  1.マルコム・ボルドリッヂ賞
  2.クロスビーの成熟度モデル
  3.CMM (Capability Maturity Model)
  4.日本経営品質賞  等

 日本経営品質賞は、経営を行う上での理念を4項目示している。
  1.顧客本位
   企業の保有する経営資源を活用して最大の満足を感じる
   顧客が評価する価値を提供する。

  2.独自能力
   他社とは質の異なる差別化された価値を提供するための能力を
   持つこと

  3.社員重視
   社員一人一人の尊厳を守り、独創性と知識創造を高めることが
   必要である。

  4.社会との調和
   企業も社会を構成する一員であるので、自己中心的であった
   り、倫理性を失ったり、環境対策が十分でなかったりする事
   等のないようにしなければならない。

 また、日本経営品質賞は、前述した理念に基づく「基本的な考え方」として11項目の経営上の重要な関心事を構成している。

  1.クオリティ
  2.リーダーシップ
  3.プロセス
  4.「知」の創造と活用
  5.時間とスピード
  6.パートナーシップ
  7.「環境保全」
  8.「事実に基づく経営」
  9.「グローバリゼイション」
  10.「フェアネス」
  11.「イノベーション」

結 論

 経営の成熟度の評価(例えば「日本経営品質賞」)を通じて、経営組織は現状把握を実施し、その後、評価されたレベルより上位のレベルの目標設定をし、そして実現を通じて、経営品質向上のための改善、革新を継続的に行なわなければ、激しい生き残りのための競争に勝利することは出来ない。

 I T
 ITに関連した略語 

 今回は、ITに関連して最近特によく目にする、略語について少数ですが、記述致しますので、参考にしてください。

ASP(Application Service Provider)
 インターネットを通じて業務システムサービスを提供する事業者

ERP(Enterprise Resource Planning)
 企業の重要な経営資源の人、物、金を全体最適に配分する経営手法

SCM(Supply Chain Management)
 企業活動における資材調達から生産・物流・販売までの全体最適を実現する仕組み。

TCO(Total Cost of Ownership)
 情報システムを導入・維持するのにかかる総費用。ハードの直接費用だけでなく、利用者の時間の浪費までも加味して算定する。

EDLP(Every Day Low Price)
 米ウォルマート・ストアーズが始めた戦略で、店舗にある商品全てが、いつでも安く入手できること。

XBRL(Extensible Business ReportingLanguage)
 企業の財務データなどの記述言語。企業の信用リスク情報の蓄積や金融機関による利用がしやすくなる。

BPO(Business Process Outsourcing)
 システムの開発運用だけでなく、業務(営業、人事、経理、総務等)分野まで外部企業に委託することで、経営資源の集中・効率を図る。

CMS(Cash Management System)
 企業の複数の部署の行う振込みや、保有する銀行口座を一元管理し、コストの削減を図る。

CIO(Chief Information Officer)
 情報処理担当役員。企業の戦略を情報システムに反映する役割を担う役員。
  参考 CEO(最高経営責任者)・CFO(最高財務責任者)・
       CSO(最高戦略責任者)

KPI(Key Performance Indicator)
 重要業績指標。業務やプロセスを定量的に管理するための尺度。

KGI(Key Goal Indicator)
 経営の主要成果目標と目標を評価する為の評価基準。企業のビジョンや戦略により策定された施策が達成すべきゴールである。

BPR(Business Process Re−engineering)
   企業の経営体質変革のための方法論であり、体質改善や企業風土改革につなげるマネジメント手法。

CSF(Critical Success Factor)
 重要(主要)成功要因。これら要件の達成により、結果として競争の優位性が確保できる。

EVMS(Earned Value Management System)
 プロジェクトの進捗状況を測定する手法。予算数値と実績数値を比較して、コストとスケジュールの進捗状況が、計画通りかの測定をし、完成時のコストの予測をする。

RFP(Request For Proposal)
 提案書提出の要求のこと。情報システム構築のため、必要な要件を明確にし、その要件を満足させる為のIT資源調達をベンダーに提案依頼をすること。

*このホームページの記載内容につきましては、あくまで標準的なものを想定して記述しております。個別ケースによっては、必ずしも前提となる条件が一致しないため、結論が変わってくることも予測されますのでご留意下さい。また、意見の部分は私見ですので、予めご了承くださるようお願いいたします。


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