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●税務・会計
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平成16年度税制改正により土地建物等の譲渡所得の改正がありました (所得税)
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平成16年度の税制改正で、土地、建物の譲渡所得に係る所得税の計算について、
@税率の引き下げ
A損益通算・繰越控除の廃止
という改正が盛りこまれており、その概要は以下の通りです。
@税率の引き下げにより、譲渡した土地建物等で、譲渡した年の1月1日現在で所有期間が5年を超える譲渡所得(長期譲渡所得)の税率が15%、同5年以下の譲渡所得(短期譲渡所得)の税率が30%となりました。(改正前は、長期譲渡所得は20%、短期譲渡所得は約40%となっておりました。)
A損益通算・繰越控除の廃止により、従来可能であった居住用・別荘等を問わず生じた土地建物の譲渡損を他の給与所得や不動産所得などから差し引く損益通算や、それでも残ってしまった損失を繰り越せる繰越控除が原則として廃止されました。
ただし、特例的に居住用財産に係る譲渡損失については、損益通算・繰越控除が適用できることになりましたが、別荘等の非居住用の土地建物等から譲渡損失が生じてもなかったことになります(同じ譲渡所得内の通算は今までどおり可能です。)。
この居住用財産に係る譲渡損失については、買換えの場合の損失を損益通算・繰越控除できるものと、買換えをしない譲渡損失を損益通算・繰越控除できる制度があります。
買換えの場合の損失を損益通算・繰越控除する制度は、居住用財産の買換えをして譲渡損失が生じ、さらに借入金の残高がある場合に適用できるものでしたが、改正により借入金の残高がない場合も適用対象としました。
また、買換えをしない譲渡損失を損益通算・繰越控除する制度は、今回の改正で新たに盛り込まれたものであり、譲渡資産に係る住宅ローンの残高が譲渡価額を超える場合に、その差額を損益通算・繰越控除できるというものです。
この他に、長期譲渡所得の100万円特別控除の廃止などの改正も盛り込まれております。
いずれの改正も、平成16年1月1日より適用となっております。
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●法 律 |
平成15年4月より改正商法が施行されております。その主な目的は、商法と証券取引法との調整をはかり、今後の会計基準の変更に商法上も迅速に合せるため資産評価の具体的な規定等を商法から法務省令(商法施行規則)に委任しました。
この商法施行規則における従来との変更点のうち、より身近な株式会社の変更点である貸借対照表の記載方法や配当可能限度額計算等の概要について述べてまいります。
◆貸借対照表の記載方法の変更◆
貸借対照表や損益計算書等の用語が微妙に変更しているのに気づかれたかたもおられると思います。これは、商法と証券取引法との記載方法の一致をはかり、それぞれの基準に合わせた貸借対照表や損益計算書等をつくる負担を軽減するためです。(一部一致ができていなし項目も残されました。)
その代表例は以下の通りです。
貸借対照表
固定資産の部 「投資等」 →「投資その他の資産」
資本の部
「減資差益」→「資本金及び資本準備金減少差益」
「新株式払込金又は新株式申込証拠金の部」を追加
「自己株式払込金又は自己株式申込証拠金の部」を追加
(株式等評価差額金の部は変更なし。ここは証取法
とズレたままです。)
「当期利益(損失)」を削除
(損益計算書を公告しない場合は削除せず、一株当り
当期純利益を注記し公告します)
損益計算書
「税引前当期利益(損失)」→「税引前当期純利益(損失)」
「当期利益(損失)」→「当期純利益(損失)」
(一株当たり当期純利益又は当期純損失を注記。ただし、損益
計算書を公告しない場合は貸借対照表に注記し公告します。)
◆配当可能限度額計算の変更◆
会社の配当可能な金額は、商法とその施行規則により決められております。
商法においては、債権者保護と投資家保護を目的としており、会社が配当等として社外へ流出できる金額は限度額が設けられており、その限度額を定めたのが配当可能限度額計算の規定です。
それによると、確定配当の場合は、最終の決算における貸借対照表から計算することになります。その中の資本の部の合計額である会社の純資産額から資本金、資本準備金、利益準備金、利益準備金要積立額と商法施行規則に規定する金額を差し引いた残りとなっております。この商法施行規則に規定する金額とは3つあります。
@繰延資産(開業費、研究費・開発費)が利益準備金要積立額を
加えた後の資本準備金・利益準備金(二つをあわせて法定準備
金といいます)の合計額を超える場合のその超過額。
A新株式払込金又は新株式申込証拠金
B株式等評価差額金等
となっております。
このうち、Aが改正15年商法で明確に規定されたものであり、やはり証券取引等との調整がはかられております。
ちなみに、中間配当をする場合の限度額の計算規定も同様に規定されており、上記の確定配当の場合の限度額計算に、今回明確に規定された最終の決算期に自己株式を買い受けた金額を差し引いた額となっております。
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●人事・労務 |
社員の入社時の社会保険・労働保険の加入手続きと税務処理
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【社会保険】
「健康保険・厚生年金保険被保険者資格届」を事業所管轄の社会保険事務所に、資格取得の日(入社した日)から5日以内に提出する。(標準月額報酬は、基本給・諸手当・通勤交通費・残業手当見込みを加算した金額。)
4月に加入の場合社会保険料の納付は、5月末からになります。
入社日については、3月途中からアルバイトして働いている場合などは、3月が入社になる場合がありますので社会保険事務所に確認する必要があります。
この場合、平成14年6月以降ではフロッピーデスクによる提出が可能となっております。
【労働保険】
労災保険は、使用する労働者のすべてを自動的に労災保険の対象とし、概算確定という年1回の保険料の納付で手続きは完了しますので、社員の入社の都度手続きをする必要はありません。
雇用保険は、「雇用保険被資格取得届」を事業所所轄の公共職業安定所に雇用した日の属する月の翌月10日までに提出します。
【税務処理】
社員に、最初の給与の支払の前日までに「給与所得者の扶養控除等(移動)申告書」を提出して頂きます。(この申告書は1社にしか提出できません。提出がない場合は所得税を所得税の税額表の乙欄で徴収されます。)
扶養控除申告書の提出がある場合は、基本給・諸手当・残業手当などを加算した金額より、社会保険料(社会保険事務所に提出した標準月額報酬より決定した額)・雇用保険料(基本給・諸手当・通勤交通費・残業手当を加算した額で決定)を差し引き、さらに「給与所得者の源泉徴収税額月額表」により選択した所得税額差し引いて社員へ給料を支給します。
【介護保険料の料率変更】
政府管掌健康保険の介護保険料率は、平成16年3月分(4月納付)から1.11%(改正前0.89%)となります。
40歳から64歳までの介護保険第2号被保険者に該当する人の保険料率は、医療に係る保険料率(8.2%)と合わせて、9.31%(改正前は9.09%)となります。
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●経 営 |
経営は社会システムである。その社会システムの特徴は、自分の意志で新たな性質を開発し、自己を変革させる能力を持つことにある。
その社会システムとしての経営組織の成熟度が高い組織ほど、自分の意志で新たな性質を開発し、自己を変革させる能力が高いといえる。
ゆえに、経営組織の現状の成熟度を測定し、成熟度レベルを高めることが重要である。
そこで、経営組織の成熟度を、レベルに分けて評価する尺度として次に示す成熟度モデルが使用される。
1.マルコム・ボルドリッヂ賞
2.クロスビーの成熟度モデル
3.CMM (Capability Maturity Model)
4.日本経営品質賞 等
日本経営品質賞は、経営を行う上での理念を4項目示している。
1.顧客本位
企業の保有する経営資源を活用して最大の満足を感じる
顧客が評価する価値を提供する。
2.独自能力
他社とは質の異なる差別化された価値を提供するための能力を
持つこと
3.社員重視
社員一人一人の尊厳を守り、独創性と知識創造を高めることが
必要である。
4.社会との調和
企業も社会を構成する一員であるので、自己中心的であった
り、倫理性を失ったり、環境対策が十分でなかったりする事
等のないようにしなければならない。
また、日本経営品質賞は、前述した理念に基づく「基本的な考え方」として11項目の経営上の重要な関心事を構成している。
1.クオリティ
2.リーダーシップ
3.プロセス
4.「知」の創造と活用
5.時間とスピード
6.パートナーシップ
7.「環境保全」
8.「事実に基づく経営」
9.「グローバリゼイション」
10.「フェアネス」
11.「イノベーション」
結 論
経営の成熟度の評価(例えば「日本経営品質賞」)を通じて、経営組織は現状把握を実施し、その後、評価されたレベルより上位のレベルの目標設定をし、そして実現を通じて、経営品質向上のための改善、革新を継続的に行なわなければ、激しい生き残りのための競争に勝利することは出来ない。
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● I T |
今回は、ITに関連して最近特によく目にする、略語について少数ですが、記述致しますので、参考にしてください。
ASP(Application Service Provider)
インターネットを通じて業務システムサービスを提供する事業者
ERP(Enterprise Resource Planning)
企業の重要な経営資源の人、物、金を全体最適に配分する経営手法
SCM(Supply Chain Management)
企業活動における資材調達から生産・物流・販売までの全体最適を実現する仕組み。
TCO(Total Cost of Ownership)
情報システムを導入・維持するのにかかる総費用。ハードの直接費用だけでなく、利用者の時間の浪費までも加味して算定する。
EDLP(Every Day Low Price)
米ウォルマート・ストアーズが始めた戦略で、店舗にある商品全てが、いつでも安く入手できること。
XBRL(Extensible Business ReportingLanguage)
企業の財務データなどの記述言語。企業の信用リスク情報の蓄積や金融機関による利用がしやすくなる。
BPO(Business Process Outsourcing)
システムの開発運用だけでなく、業務(営業、人事、経理、総務等)分野まで外部企業に委託することで、経営資源の集中・効率を図る。
CMS(Cash Management System)
企業の複数の部署の行う振込みや、保有する銀行口座を一元管理し、コストの削減を図る。
CIO(Chief Information Officer)
情報処理担当役員。企業の戦略を情報システムに反映する役割を担う役員。
参考 CEO(最高経営責任者)・CFO(最高財務責任者)・
CSO(最高戦略責任者)
KPI(Key Performance Indicator)
重要業績指標。業務やプロセスを定量的に管理するための尺度。
KGI(Key Goal Indicator)
経営の主要成果目標と目標を評価する為の評価基準。企業のビジョンや戦略により策定された施策が達成すべきゴールである。
BPR(Business Process Re−engineering)
企業の経営体質変革のための方法論であり、体質改善や企業風土改革につなげるマネジメント手法。
CSF(Critical Success Factor)
重要(主要)成功要因。これら要件の達成により、結果として競争の優位性が確保できる。
EVMS(Earned Value Management System)
プロジェクトの進捗状況を測定する手法。予算数値と実績数値を比較して、コストとスケジュールの進捗状況が、計画通りかの測定をし、完成時のコストの予測をする。
RFP(Request For Proposal)
提案書提出の要求のこと。情報システム構築のため、必要な要件を明確にし、その要件を満足させる為のIT資源調達をベンダーに提案依頼をすること。
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