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●税務・会計
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減損会計とは、固定資産、つまり土地、建物、機械装置などの有形固定資産、特許権などの無形固定資産、投資目的の建物等の投資その他の資産、の回収可能性に基づく価値が低下したときに限って、その価値の低下を決算書に表す会計基準をいいます。
資産には、この他に販売を目的とする商品、有価証券などの金融資産がありますが、商品は通常仕入れてから販売まで短期に資金化されるため原価評価することを原則としており、金融資産は時価をもって評価するとの別の基準があるため、この減損会計の対象にはなりません。
いままでの固定資産は、費用配分の原則に基づいてその取得原価をその耐用する各会計期間に減価償却等の一定の方法により各期の費用として配分し、未配分額を貸借対照表に計上することを前提としており、将来に回収できるキャッシュフローによる評価やその固定資産を売却することにより得られる収入に基づいた評価は前提としておりません。つまり、当初の投資額は全額回収されるという考えを前提として費用配分をしているのです。
しかし、固定資産の取得の段階で予想した設備投資による収益が思うように得られない状態になり、帳簿価額が評価額を下回ることがあります。
このような場合、従来の基準ではこの状況が決算書に反映されることがありませんが、減損会計の適用により、帳簿価額を評価額まで減額することになり、固定資産の帳簿価額は回収可能性を示すことになります。また、そこで発生した損失もその期の損失として決算書に反映されます。ただし、この逆で帳簿価額が評価額を上回っていたとしても、販売目的資産ではないため評価益は計上しません。
現在、企業会計審議会は減損会計を設定する前段階として、草案を公開しております。
商法では一般に公正妥当と認められる会計慣行を斟酌するとしており、その会計慣行には企業会計審議会で決定した会計基準が入ります。そのため、草案が会計基準となった場合には商法においてそれに従った処理をする必要が生じます。
また、証券取引法に基づく有価証券報告書も同様にそれに従った処理により作成されます。
これにより、大企業から中小零細企業までのすべての企業が減損会計に従った処理を行うには非常に手間とコストと専門的知識が求められるため、実務上はその煩雑さから資本金が5億円以上または負債総額200億円以上の会社である商法特例法上の大会社にのみ適用されると考えられます。
では、この減損会計が適用されるのはいつからなのでしょうか。現時点の草案においては、平成17年4月1日以降に開始する事業年度から適用となっております。つまり、1年決算会社の場合は18年3月決算の会社から順次適用することになります。ただし、それより早く適用することも認めており、その場合は16年3月決算会社からということになっております。
この減損会計が実際に導入された場合は、含み損が一度に表へ出ることになり、倒産する会社も出るかもしれません。その場合、適用会社は大会社であり、その取引先となっている中小会社への影響も危惧されます。そのため、事前に含み損を持つ固定資産を処分するなど事前の対応で一度に含み損を計上しないですむ方法を考えておく必要があります。
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●法 律 |
商法の最低資本金は、株式会社1,000万円、有限会社300万円と定められております。
この最低資本金を引き下げ株式会社の設立を容易にする方針を政府が検討中との報道がでております。しかし、これはまだ新聞報道でしかなく、これについての法務省の発表は現在ありません。
そのため、会社設立には商法上最低資本金が必要であり、実際にはこのほかに登録免許税などが株式会社で30万円、有限会社で20万円が最低必要となります。そのため、簡単には会社を設立することはできず、現在の不況の影響で廃業率が開業率を上回っております。
この様な状況を改善すべく、商法自体の改正ではなく、特例により起業を促進し経済を活性化させる方法がすでにできております。それが新事業創出促進法の改正です。
この新事業創出促進法の改正の概要は、平成20年3月31日までに経済産業大臣の認可を受けた創業者が株式会社又は有限会社を設立する場合は、会社設立から5年間は商法に規定する最低資本金を免除され、1円で会社を設立できるというものです。
そのための条件には、以下のようなポイントがあります。
◆創業者とは、事業を営んでいない個人であって、2ヶ月以内に新たに会社を設立してその会社を通じて事業を開始する具体的な計画を有する者をいいます。つまり、給与所得者や専業主婦、学生などが創業者となることができ、個人事業主や法人の代表役員など創業者になれないということです。
◆会社の定款(会社の決まりをまとめたもの)に会社設立から5年以内に商法の最低資本金である1,000万円又は300万円に達するまで増資しないと解散すると記載しなければなりません。
◆営業年度終了後3ヶ月以内に貸借対照表などを経済産業省へ提出し、一般公開されます。
◆この1円株式会社設立から5年以内に最低資本金の1,000万円に達しない場合は、株最低資本金が300万円の有限会社に組織変更したり、合名会社や合資会社へ組織変更をする必要があります。1円有限会社についても同様です。これをしないと、解散することになります。これは、上記2により定款に記載してあるためです。
商法自体の最低資本金の規制緩和がなされない状況では、この1円会社がもっとも簡単な会社設立の方法となっているのが現状です。
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●人事・労務 |
育児休業給付制度とは、1歳未満の子を養育するために育児休業を取得する一般被保険者に対して、賃金が一定の水準を下回った場合に給付金を支給する制度です。
この給付を行うことにより、労働者が育児休業を取得しやすくし、その後の円滑な職場復帰を援助・促進することを目的としています。
この給付金には、育児休業期間中に支給される『育児休業基本給付金』と、育児休業後に職場復帰した場合に支給される『育児休業者職場復帰給付金』の2種類があります。
受給要件
〜これらの給付金は、次の要件をすべて満たした場合に支給されます。〜
◆育児休業基本給付金◆
@ 1歳未満の子を養育するために、育児休業を取得した一般被保険者であること。
A 育児休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数11日以上の月が12ヵ月以上あること。
B 各支給単位期間に、育児休業による休業日が20日以上あること。
C 各支給単位期間において、休業開始時賃金に比べて、80%未満の賃金で雇用されていること。
◆育児休業者職場復帰給付金◆
@ 育児休業基本給付金の支給を受けた被保険者が、育児休業を終了した後、被保険者として引き続き6ヶ月間雇用された場合
なお、育児休業の取得には男女(父親、母親)の区別はありません。
また子が実子であるか養子であるかの区別もありません。
支給される金額
◆育児休業基本給付金◆
原則として休業開始時点の賃金月額の30%であり、上限は月額130,590円です。給料がいくら高くても上限以上はもらうことは出来ません。
ただし、支給対象期間中に支払われた賃金の月額が休業開始賃金の50%を超えるときは、休業開始賃金の80%相当額と支払われた賃金の差額が支給され、休業開始賃金の80%を超えると支給されません。
◆育児休業者職場復帰給付金◆
休業開始時賃金月額の10%×育児休業基本給付金が支給された月数が支給額となります。
受給できる期間
◆育児休業基本給付金◆
育児休業基本給付金は、支給単位期間ごとに、子が1歳に達する日(誕生日の前日)の前日まで支給されます。
育児休業期間内には、産後休業期間(出産日の翌日から起算して8週間)は含まれません。
◆育児休業者職場復帰給付金◆
育児休業者職場復帰給付金は、育児休業終了後、引き続き被保険者として6ヵ月以上雇用されたときに1回で支給されます。
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●経 営 |
経営は社会システムである。その社会システムの特徴は、自分の意志で新たな性質を開発し、自己を変革させる能力を持つことにある。
その社会システムとしての経営組織の成熟度が高い組織ほど、自分の意志で新たな性質を開発し、自己を変革させる能力が高いといえる。
ゆえに、経営組織の現状の成熟度を測定し、成熟度レベルを高めることが重要である。
そこで、経営組織の成熟度を、レベルに分けて評価する尺度として次に示す成熟度モデルが使用される。
1.マルコム・ボルドリッヂ賞
2.クロスビーの成熟度モデル
3.CMM (Capability Maturity Model)
4.日本経営品質賞 等
日本経営品質賞は、経営を行う上での理念を4項目示している。
1.顧客本位
企業の保有する経営資源を活用して最大の満足を感じる
顧客が評価する価値を提供する。
2.独自能力
他社とは質の異なる差別化された価値を提供するための能力を
持つこと
3.社員重視
社員一人一人の尊厳を守り、独創性と知識創造を高めることが
必要である。
4.社会との調和
企業も社会を構成する一員であるので、自己中心的であった
り、倫理性を失ったり、環境対策が十分でなかったりする事
等のないようにしなければならない。
また、日本経営品質賞は、前述した理念に基づく「基本的な考え方」として11項目の経営上の重要な関心事を構成している。
1.クオリティ
2.リーダーシップ
3.プロセス
4.「知」の創造と活用
5.時間とスピード
6.パートナーシップ
7.「環境保全」
8.「事実に基づく経営」
9.「グローバリゼイション」
10.「フェアネス」
11.「イノベーション」
結 論
経営の成熟度の評価(例えば「日本経営品質賞」)を通じて、経営組織は現状把握を実施し、その後、評価されたレベルより上位のレベルの目標設定をし、そして実現を通じて、経営品質向上のための改善、革新を継続的に行なわなければ、激しい生き残りのための競争に勝利することは出来ない。
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● I T |
今回は、ITに関連して最近特によく目にする、略語について少数ですが、記述致しますので、参考にしてください。
ASP(Application Service Provider)
インターネットを通じて業務システムサービスを提供する事業者
ERP(Enterprise Resource Planning)
企業の重要な経営資源の人、物、金を全体最適に配分する経営手法
SCM(Supply Chain Management)
企業活動における資材調達から生産・物流・販売までの全体最適を実現する仕組み。
TCO(Total Cost of Ownership)
情報システムを導入・維持するのにかかる総費用。ハードの直接費用だけでなく、利用者の時間の浪費までも加味して算定する。
EDLP(Every Day Low Price)
米ウォルマート・ストアーズが始めた戦略で、店舗にある商品全てが、いつでも安く入手できること。
XBRL(Extensible Business ReportingLanguage)
企業の財務データなどの記述言語。企業の信用リスク情報の蓄積や金融機関による利用がしやすくなる。
BPO(Business Process Outsourcing)
システムの開発運用だけでなく、業務(営業、人事、経理、総務等)分野まで外部企業に委託することで、経営資源の集中・効率を図る。
CMS(Cash Management System)
企業の複数の部署の行う振込みや、保有する銀行口座を一元管理し、コストの削減を図る。
CIO(Chief Information Officer)
情報処理担当役員。企業の戦略を情報システムに反映する役割を担う役員。
参考 CEO(最高経営責任者)・CFO(最高財務責任者)・
CSO(最高戦略責任者)
KPI(Key Performance Indicator)
重要業績指標。業務やプロセスを定量的に管理するための尺度。
KGI(Key Goal Indicator)
経営の主要成果目標と目標を評価する為の評価基準。企業のビジョンや戦略により策定された施策が達成すべきゴールである。
BPR(Business Process Re−engineering)
企業の経営体質変革のための方法論であり、体質改善や企業風土改革につなげるマネジメント手法。
CSF(Critical Success Factor)
重要(主要)成功要因。これら要件の達成により、結果として競争の優位性が確保できる。
EVMS(Earned Value Management System)
プロジェクトの進捗状況を測定する手法。予算数値と実績数値を比較して、コストとスケジュールの進捗状況が、計画通りかの測定をし、完成時のコストの予測をする。
RFP(Request For Proposal)
提案書提出の要求のこと。情報システム構築のため、必要な要件を明確にし、その要件を満足させる為のIT資源調達をベンダーに提案依頼をすること。
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