●税務・会計
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通常、法人税の計算において欠損が生じた場合、青色決算書を提出する法人は欠損金を繰り越すことになります。この欠損金は、欠損の生じた年の翌年以降5年間にわたり繰り越すことができ、その後に所得が生じた場合は強制的に相殺され、相殺できなかった欠損金は打ち切られます(以下、5年間の繰越控除と呼ぶことにします。)。
実は、上記のような欠損金を5年間の繰越控除ではなく、前期に生じた法人税額のうち一定額を還付請求することにつかえるのです。つまり、当期に生じた欠損を当期に使うということであり、翌期以降に使うのではないということです。しかし、残念ながら現在は一定の事由が生じた場合のみの適用となっており、通常は5年間の繰越控除を適用することになります。
その一定の事由とは、青色申告をしている法人が解散、営業の全部の譲渡、民事再生法等の適用など翌期以降に5年間の繰越控除の適用が受けられる見込みがほとんどない場合と、通常第2期から第6期までの中小企業者(実際は、もうすこし細かな条件があります)に該当する場合をいいます。
では例を使って、実際にいくら還付請求できるのかということを見ていきます。この前提として、前期は法人税を納めていたが、当期は上記の一定の事由に該当し欠損が生じていることが必要です。その前提で、以下の金額を使って具体的に計算していきます。
まず、前期の申告において、課税所得金額は5,000万円、納付税額は1,500万円とします。(ただし、控除所得税や留保金課税は生じないとします。)
そして、当期は欠損金が3,000万円生じているとします。
この場合の還付請求額は、
前期の納税額 × 当期の欠損金額 ÷ 前期の課税所得金額
1,500万円 3,000万円 5,000万円 =還付請求額
900万円
となります。
この様な状況に該当する場合は、5年間の繰越控除ではなく欠損金の繰り戻しによる還付請求ができるかもしれませんので、税理士にご相談ください。
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