バックナンバーへ
|
●税務・会計
|
現在、法人税の計算において、建物・付属設備・車両運搬具・什器備品・ソフトウエアなどの減価償却資産を取得した場合には耐用年数表に基づいて取得価額を費用化していく方法を原則としますが、即時または36ヶ月で費用化できる資産もあり、それをを以下のように区分いたします。
1.少額減価償却資産
2.一括償却資産
3.即時償却資産
よって、以下でこれらの資産や会社の条件、償却方法についてまとめていきます。
1.少額減価償却資産
少額減価償却資産とは、使用可能期間が1年未満又は取得価額が10万円未満の減価償却資産をいいます。この減価償却資産を実際に事業に使用した事業年度において会社の帳簿上で費用として処理した場合には、法人税の計算においても費用(税法上は損金といいます)として認められます。
2.一括償却資産
一括償却資産とは、取得価額が20万円未満の減価償却資産を、実際に事業に使用した事業年度において、その資産の一部または全部を一括したものをいいます。
この場合、会社の帳簿上で一時に費用とせず資産として計上していることが必要であり、その資産の取得価額の合計額を36で割り、それに当期の事業年度の月数を乗じた金額までが税務上の損金となります。つまり、当期が12ヶ月ある会社では、3年で資産の取得価額が損金となります。
そのためには、確定申告書に一括償却資産の取得価額合計額を記載し、損金とした金額の明細書を添付し、さらに計算に関する書類の保存が必要となります。この場合、この費用処理の途中での除却・売却をしてしまい実際には会社に存在しなくても費用処理は引き続き取得原価の合計額まで行われるので注意が必要です。
3.即時償却資産
平成15年4月1日から平成18年3月31日まで間に取得しさらに事業に使用した減価償却資産のうち、取得価額が30万円未満のものをその事業年度に会社の帳簿上費用処理した場合には、法人税の計算においても損金として認められます。ただし、青色申告書を提出する中小企業者でなければなりません。この中小企業者とは、即時償却資産を事業に使用した日における資本金等が1億円以下でることが必要です。さらに株主の中に、発行済み株式総数の2分の1以上を保有する資本金1億円超の法人(以下大規模法人と呼びます。)または発行済み株式総数の3分の2以上を保有する複数の大規模法人がいない会社でなければなりません。また、資本金等がない会社は常時使用する従業員が1,000人以下の会社です。そのため、単純に資本金が1億円以下で中小企業者と考えずに、その株主構成も重要になります。
この即時償却を受けるためには、確定申告書に明細書を添付する必要がありますが、減価償却明細の備考欄へこの規定を適用していること等を記載しその明細を保存すればよいこととなっております。
この様に少額減価償却資産、一括償却資産、即時償却資産の条件に合致したのであれば通常の耐用年数より短期に費用化し、資金回収ができると考えられますので、参考になさってください。
|
●法 律 |
日常の生活でトラブルが生じた場合、なるべく避けたいと思うのが「裁判」ではないでしょうか。やはり「裁判」というと、大小を問わず莫大な時間と費用、精神的苦痛の連続と考えてしまいます。そのため、裁判により納得できる結果が得られる場合でも、それによる苦痛を考えるあまり裁判を避ける傾向にあります。
そこで、「少額訴訟手続」がはじまりました。この制度は、争いによる請求金額が30万円以下のものについて、従来の裁判より手続きが簡素でかつ判決までの期間が短縮されるというものです。そのため、弁護士や司法書士へ支払う報酬もおのずと少なくなります。
ただし、なんでもかんでも小額訴訟で決着をつけるには無理があります。小額訴訟に適したものには、金銭の貸し借りにおいて借用書や証人がいるのにもかかわらずなかなか貸した金を返してもらえない場合などであり、争いの内容がはっきりしており、その証拠や証人が確実に審理のときにそろう場合となります。
このように、小額訴訟に適しているものについて、弁護士や司法書士へ実際に訴訟を依頼した場合には、次のような経緯をとるようです。
まず、審理は原則1回であり、判決はその場で出され、和解が成立するというものです。そのため、裁判期間が従来に比べ確実に短縮されることとなり、申立てから和解までは2ヶ月程度となっているようです。ただし、小額訴訟でない裁判のように判決に不服があっても控訴はできませんので、その場合は異議申立をすることになります。
また、審理の場において証拠としてみとめられるものは、契約書、領収書、写真など審理の場において証拠資料が提出でき、証人となる人は審理の場に出席しなければなりません。
このように、小額訴訟により簡便な手続きで決着をつけることが可能ですが、無制限に訴訟を起こすことはず、1年間に10回を超えて同一の裁判所へ申立てをすることはできません。また、せっかく小額訴訟で訴えて迅速な和解により争いを解決しようとしても、訴えられた側の被告が通常の訴訟を望む場合には、小額訴訟での審理はできませんのでご注意ください。
|
●人事・労務 |
「サービス残業」は「従業員の好意でやってくれるなら不景気の世の中、企業側としては人件費削減になりありがたい事」との認識で進められ多くの企業において行われてきました。
この「サービス残業」が、大変重要な社会的な問題となっております。
その「サービス残業」とは、以下のことをいいます。
1.残業代は一切支払っていない。あるいは、その一部の数時間分
しか支払っていない。
2.残業時間の上限を設けて、それ以上残業しても残業代を支払わ
ない。
3.残業時間を自己申請にして、本当の残業時間を把握せず、自己
申請分しか残業代を支払っていない。
4.残業を何時間させていても残業代は毎月固定としている。
5.労基法上の管理職でないのにもかかわらず、残業代を支払わ
ず管理職手当のみ支払っている。
厚生労働省が、過労死などの問題を背景に、サービス残業根絶に向け厳しく対処し始め、サービス残業防止のため全国の労働局あてに通達を発しました。この通達以来、全国の労働基準監督署が、本格的に調査などに入り、是正や指導を行っています。
では、会社における「サービス残業のリスク」とはどの程度のものなのでしょうか。
そのリスクのひとつは、「サービス残業」について労働基準監督署の調査が企業に入り、サービス残業の事実が確認されると、過去にさかのぼって残業代を支払うよう是正勧告を受けるというものです。
それについて、再三の労働基準監督署の改善勧告にも従わず悪質と判断された場合には、事業主が逮捕されるケースもあります。
この監督署の是正勧告では概ね6カ月程度の未払い賃金の支払で済みますが、裁判になった場合は、時効の2年分の支払を命じられ、併せて同額の付加金まで命じられます。
|
●経 営 |
経営は社会システムである。その社会システムの特徴は、自分の意志で新たな性質を開発し、自己を変革させる能力を持つことにある。
その社会システムとしての経営組織の成熟度が高い組織ほど、自分の意志で新たな性質を開発し、自己を変革させる能力が高いといえる。
ゆえに、経営組織の現状の成熟度を測定し、成熟度レベルを高めることが重要である。
そこで、経営組織の成熟度を、レベルに分けて評価する尺度として次に示す成熟度モデルが使用される。
1.マルコム・ボルドリッヂ賞
2.クロスビーの成熟度モデル
3.CMM (Capability Maturity Model)
4.日本経営品質賞 等
日本経営品質賞は、経営を行う上での理念を4項目示している。
1.顧客本位
企業の保有する経営資源を活用して最大の満足を感じる
顧客が評価する価値を提供する。
2.独自能力
他社とは質の異なる差別化された価値を提供するための能力を
持つこと
3.社員重視
社員一人一人の尊厳を守り、独創性と知識創造を高めることが
必要である。
4.社会との調和
企業も社会を構成する一員であるので、自己中心的であった
り、倫理性を失ったり、環境対策が十分でなかったりする事
等のないようにしなければならない。
また、日本経営品質賞は、前述した理念に基づく「基本的な考え方」として11項目の経営上の重要な関心事を構成している。
1.クオリティ
2.リーダーシップ
3.プロセス
4.「知」の創造と活用
5.時間とスピード
6.パートナーシップ
7.「環境保全」
8.「事実に基づく経営」
9.「グローバリゼイション」
10.「フェアネス」
11.「イノベーション」
結 論
経営の成熟度の評価(例えば「日本経営品質賞」)を通じて、経営組織は現状把握を実施し、その後、評価されたレベルより上位のレベルの目標設定をし、そして実現を通じて、経営品質向上のための改善、革新を継続的に行なわなければ、激しい生き残りのための競争に勝利することは出来ない。
|
● I T |
今回は、ITに関連して最近特によく目にする、略語について少数ですが、記述致しますので、参考にしてください。
ASP(Application Service Provider)
インターネットを通じて業務システムサービスを提供する事業者
ERP(Enterprise Resource Planning)
企業の重要な経営資源の人、物、金を全体最適に配分する経営手法
SCM(Supply Chain Management)
企業活動における資材調達から生産・物流・販売までの全体最適を実現する仕組み。
TCO(Total Cost of Ownership)
情報システムを導入・維持するのにかかる総費用。ハードの直接費用だけでなく、利用者の時間の浪費までも加味して算定する。
EDLP(Every Day Low Price)
米ウォルマート・ストアーズが始めた戦略で、店舗にある商品全てが、いつでも安く入手できること。
XBRL(Extensible Business ReportingLanguage)
企業の財務データなどの記述言語。企業の信用リスク情報の蓄積や金融機関による利用がしやすくなる。
BPO(Business Process Outsourcing)
システムの開発運用だけでなく、業務(営業、人事、経理、総務等)分野まで外部企業に委託することで、経営資源の集中・効率を図る。
CMS(Cash Management System)
企業の複数の部署の行う振込みや、保有する銀行口座を一元管理し、コストの削減を図る。
CIO(Chief Information Officer)
情報処理担当役員。企業の戦略を情報システムに反映する役割を担う役員。
参考 CEO(最高経営責任者)・CFO(最高財務責任者)・
CSO(最高戦略責任者)
KPI(Key Performance Indicator)
重要業績指標。業務やプロセスを定量的に管理するための尺度。
KGI(Key Goal Indicator)
経営の主要成果目標と目標を評価する為の評価基準。企業のビジョンや戦略により策定された施策が達成すべきゴールである。
BPR(Business Process Re−engineering)
企業の経営体質変革のための方法論であり、体質改善や企業風土改革につなげるマネジメント手法。
CSF(Critical Success Factor)
重要(主要)成功要因。これら要件の達成により、結果として競争の優位性が確保できる。
EVMS(Earned Value Management System)
プロジェクトの進捗状況を測定する手法。予算数値と実績数値を比較して、コストとスケジュールの進捗状況が、計画通りかの測定をし、完成時のコストの予測をする。
RFP(Request For Proposal)
提案書提出の要求のこと。情報システム構築のため、必要な要件を明確にし、その要件を満足させる為のIT資源調達をベンダーに提案依頼をすること。
|