連結会計というと、親会社が連結財務諸表制度に基づき企業集団の連結財務諸表を作成するのであって、
子会社・関連会社は特に関係はないと思われるのではないでしょうか。
確かに、連結財務諸表を作成して企業集団としての経営成績や財政状態を投資家等へ報告する義務があるのは親会社です。
しかし、子会社・関連会社も親会社と会計処理を統一する必要があり、親会社の連結財務諸表作成のために要求されることは
たくさんあります。
よって、今回はどのような場合に子会社・関連会社と判定されるのかを簡略してご説明したいと思います。
連結企業集団に含められるのは子会社と関連会社
企業集団に含まれる子会社と関連会社の範囲を決定する基準には、大別すると、持株基準と支配力基準とがあります。
・持株基準とは、会社の議決権のある株式の所有割合(持株比率)を重視する基準です。
・他方、支配力基準とは、持株基準のように議決権のある株式の過半数を有していなくとも、他の
会社を実質的に支配している場合にも企業集団に含めるという基準です。
つまり、支配力基準は持株基準を含むことになります。
以前は、単純に持株基準によって企業集団の範囲を決定していましたが、持株比率を50%
以下に抑えて意図的に企業集団からはずすという問題があり、現在では持株基準を含む支配力基
準により、企業集団を決定しています。
1、子会社の範囲
何をもって他の会社を支配しているのかを決定するのは大変むずかしいものです。
そのため、具体的には以下のような基準が設けられております。
(1)他の会社の議決権の過半数を実質的に所有している場合。
(2)他の会社に対する議決権の所有割合が50%以下であって
も、高い比率の議決権を所有し以下の場合には子会社となり
ます。
@株主総会で、議決権を行使しない株主がいるために、継続
して議決権の過半数を占めることができる場合。
A役員、関連会社などの協力的な株主の存在により、株主総
会において議決権の過半数を継続的に占めることができる
場合。
B親会社等の役員や従業員等が取締役会の過半数を継続し
て占める場合。
C重要な財務および営業の方針決定を支配する契約などが存
在する場合。
ここでの子会社とは、子会社が他の会社を支配している場合の孫会社も子会社とみなされるということですので、注意が必要です。
また、連結の範囲に含めることについて重要性が乏しい場合や支配が一時的であったり、連結の範囲にふくめるとかえって利害関係者の判断を誤らせる場合は連結の範囲から除外することとなります。
2、関連会社の範囲
以前は、議決権の20%以上を所有するのが前提であり、その上で人事や資金等により財務や経営の方針決定に重要な影響を与える
場合に関連会社として連結の範囲に含めていました。
しかし、20%以下の議決権でも上記のような重要な影響を与える場合を連結の範囲に含めるために、影響力基準を導入しました。
この影響力基準とは、支配力基準の延長線上にあり、議決権の所有割合が20%未満であっても一定の議決権を所有し、かつその会社の
財務および営業の方針決定に対して重要な影響を与えることができる場合も連結の範囲に含めるというものであり、支配力基準におけ
る持株基準と同じく20%という持株基準も含むものです。
このように、連結の範囲に該当するかどうか規定されております。よって、当社の株主構成の変更等が生じた場合には当社が連結子
会社や関連会社に当社が該当するか判定する必要があるのではないでしょうか。
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