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今月の税務・経営トピックス
2003年5月1日更新


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税務・会計
相続時精算課税制度が創設されました

   平成15年度改正により、相続時精算課税制度が創設されました。
 この制度は、平成15年1月1日以後に生前贈与における受贈者がこの制度を選択した場合には、贈与時に支払った贈与税額を、相続時の相続財産と贈与財産とを合算して計算した相続税額から控除できるというものです。それにより、相続税額・贈与税額の納税が一体化されます。
 この制度を選択した受贈者は、2,500万円を超える金額について20%の贈与税額を納付し、いざ相続が発生した場合には相続財産と贈与財産とを合算して計算した相続税額からすでに納付している贈与税額を控除し、差額を納付し又は還付を受けるというものです。
 この制度の適用要件は、贈与者は65歳以上の親、受贈者は20歳以上の推定相続人(代襲相続人含む)であり、この制度により贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日迄に所轄税務署長へ申告書と届出書等を提出することなどです。
 この制度は受贈者毎に選択でき、贈与者である父母ごとにも選択できます。
 ただし、一度この制度を選択した場合には相続時まで継続してこの制度が適用されます。

 では、この相続時精算課税制度を選択することで損得が生じるのでしょうか。
 もともと相続が発生しても相続税額は発生しない場合が多いため、その場合は相続時精算課税制度を選択しても有利になるという状況はあまり考えられないのではないでしょうか。
 また、相続が発生すると相続税額が生じる場合においても、相続時精算課税制度を選択すると通常の贈与税における基礎控除額の110万円が利用できなくなるため、かえって不利になるとも考えられます。
 そのため、贈与時の時価により相続財産と合算されるという点から、その財産が時の経過とともに価値が増すものであれば相続時精算課税を選択して時価が低いうちに将来の課税価額を決定するということも考えらますが、確実な値上がりを見込める財産はないので、やはり損得は出にくいのではないでしょうか。

 そのため、相続時精算課税制度を選択するか否かは時期の問題であり、将来に相続で財産を取得するよりも今財産を受贈し新たな事業に生かしたり、住宅を購入したりするほうがよいと考えることもできます。この場合には制度選択から相続開始までが長い方がよいということになります。
 やはり、不況期におけるものの移動により経済が活発化することを目的に導入された制度のようですので、損得はあまりない ようです。

法 律
取締役等の責任軽減が認められました

 平成14年5月1日より商法の改正に基づき、取締役等の責任が一定の手続きにより軽減されることになりました。
 従来は取締役の責任軽減は総株主の同意が必要であったため不可能に近く、取締役等への高額な 損害賠償が株主代表訴訟により請求されており、取締役等への就任が萎縮するなどの状態が続い ておりました。
 そのため、今回の改正により取締役等の軽過失による法令定款違反行為に対し、一定額を超える 金額は免除できることとなりました。
 その一定額とは、
 ・代表取締役は報酬の6年分
 ・代表取締役以外の取締役は報酬の4年分
 ・社外取締役は報酬の2年分
 ・監査役は報酬の2年分
 をいいます。
 なお、退職金やストックオプションによる利益がある場合は別途加算された金額と なります。

そのための具体的な手続きは、監査役全員の同意を前提として以下のどちらかになります。
 @株主総会の特別決議
 A定款に基づく取締役会の決議
 (この場合、取締役会の決議後に総株主の議決権の3%以上を有する株主が
  異議申立期間内(1ヶ月以上)に異議を述べた場合には免除はみとめられませ
  ん。また、定款の変更手続きが必要です。)

 ただし、重過失行為を取締役会の決議で免除することは、その行為自体が株主代表訴訟の対象に なることも考えられるため、今後の動向が注目されます。


 

人事・労務
平成15年4月1日から社会保険がかわります

1.総報酬制が、4月1日から導入されます
 ア、毎月の保険料率がかわります。
  政府管掌健康保険
  平成15年3月まで
    一般保険料    標準報酬月額×(一般保険料率)8.5%
   介護保険料    標準報酬月額×(介護保険料率)1.07%
  平成15年4月以降
    一般保険料    標準報酬月額×(一般保険料率)8.2%
   介護保険料    標準報酬月額×(介護保険料率)0.89%

  厚生年金保険
   平成15年3月まで
    一般保険料    標準報酬月額×(一般保険料率)17.35%
   平成15年4月以降
    一般保険料    標準報酬月額×(一般保険料率)13.58%
  ※毎月の給与から控除できるのは前月分の保険料とされています。
   したがって実際に保険料の控除の変更は5月支払分給料からとなります。

 イ、賞与からも毎月の報酬と同じ保険料率をかけて計算した保険料を徴収します。
   介護保険料、児童手当拠出金も賞与から徴収します。
  政府管掌健康保険
   平成15年3月まで
     一般保険料    賞与額(100円未満切り捨て)×1%
    介護保険料なし
   平成15年4月以降
     一般保険料  標準賞与額(1000円未満切り捨て)×8.2%
    介護保険料  標準賞与額(1000円未満切り捨て)×0.89%

  厚生年金保険
   平成15年3月まで
     一般保険料 賞与額(100円未満切り捨て)×1%
   平成15年4月以降
     一般保険料 標準賞与額(1000円未満切り捨て)×13.58%
※賞与とは、賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、被保険者が労働の対象として受けるすべてのもののうち、3ヶ月を超える期間ごとに受けるものをいいます。

2.標準報酬の算定時期が5・6・7月の3ヶ月の平均から4・5・6月の3ヶ月の平均に変わります。

経 営
バランススコアカード(バランストスコアカード)
 英文表記   Balanced Scorecard
 略   記    BSC

1. BSCとは?
 BSCとは?の問いに対しては、次のようにいろいろな説明がされている。 横浜国大吉川教授は「BSCは、ビジョンと戦略 をアクションに落とし込み、成長力と競争力を付け、未来を切り拓き企業を成功に導く戦略的マネジメントシステムである。」、 神戸大学伊藤教授は「BSCは、日本企業が半ば無意識のうちに培ってきた「顧客満足の追求」、「従業員重視」、 「長期的展望にもとづく経営」をシステマティックに再構築し、新たに「株主価値の向上」というゴールを付与した。」、早大清 水教授は「BSCは、業績評価システムではなく、戦略をマネジメントするためのシステムである。すなわち、戦略マネジメント システムである。これまで、連携が弱かった戦略と予算との橋渡しをするツールである。」と説明している。

2. BSCの誕生
  BSCは、デビット・ノートンとロバート・キャプランにより、1992年にハーバード・ビシネス・レビュー誌に業績測定問題の 解決の手法として発表された。  その後、デビット・ノートンとロバート・キャプランの予想を超えて、実際に企業は、業績の測定にとどまらず、新しい戦略導入 の手法として利用し、大きな利益をあげることができた。  その結果、BSCは、新しい組織形態である「戦略志向の組織体」実現のために利用されるようになってきた。  すなわち、BSCの手法の特徴は、ビジョンと戦略をアクションに落とし込み、成長力と競争力を付けるための戦略的マネジメン トシステムを作り上げることであるということができる。

3. 4つの視点
 ビジョンと戦略を実現するためにこれらに密接に絡む4つの視点を次に説明する。
 (1) 財務の視点
    これまでの財務分析と同等のやり方で成果を評価する視点。過去から現在ま
   での企業活動状況をみる。

     成果指標(例) 株式資本利益率、投下資本利益率、キャシュフロー

 (2) 顧客の視点 
    顧客にとっての自社の強み、弱みを評価する視点。売上高や利益率等財務の
   視点に直結する要因となる。

     成果指標(例) 市場占有率、顧客満足度、ブランド力

 (3) 内部業務プロセスの視点
    SCM,商品開発、マネジメントプロセス等の業務プロセスについて、品質、
   効果、付加価値を評価する視点。
    顧客に対する価値の大きさに直結する要因。

     成果指標(例) 新製品売上高比率、品質、生産性

 (4) 学習と成長の視点
    持続的な成長のために人材、組織、情報システムなどのインフラを評価する
   視点。
    安定した成長性を長期的に判断する。

     成果指標(例) 従業員スキル、ナレッジメント

 I T
セキュリティ 

 企業におけるEUCの進展にともない、情報セキュリティ対策を個別的、具体的に実施することは当然であるが、その前に、 経営に「ビジョン」や「戦略」があるように、情報セキュリティにも「情報セキュリティポリシー」がなければならない。
 これは、企業や組織体が持っている「人」、「物」、「金」、「情報」という財産のうち、まさに情報財産を守るための個別的、具体的な方針、約束、規則等を明文化したものである。
 このポリシーの策定とその実施、教育、訓練及びそれらの評価をすることにより、より安全性の高い、そして費用対効果のよい情報セキュリティ対策が可能となる。

 次に、具体的に検討すべき項目例を述べる。

  1. 情報セキュリティ委員会(グループ)の設置
  2. 会社、事務室、コンピュータ室への入退室管理
  3. 情報の機密度の評価とその管理
  4. 情報機器利用に関する教育、訓練
  5. 情報機器の保守点検
  6. システム開発の管理
  7. アウトソーシング契約および管理
  8. イントラネット、エクストラネット、インターネット利用規程
  9. 電子メール利用規程
 10. パスワード管理
 11. ソフトウエアーとそのインストール等の管理
 12. データの暗号化
 13. コンピュータウィルス対策
 14. データベース管理、保守、運用
 15. データ媒体の管理、保守、運用
 16. アウトプット資料の管理、運用   等々 

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