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今月の税務・経営トピックス
2003年2月1日更新


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税務・会計
法人税における貸倒損失の取扱い

   現在の経済状況においては、取引先の財政状態の悪化などにより、売掛金や貸付金などの金銭債権が回収できない場合があるのではないでしょうか。そんなとき、いつ貸倒れとして損失を計上すれば、法人税法において損失(損金)として認められるのかが問題になります。
 法人税法においては、貸倒れを損金に算入することを制限することにより、会社の恣意性を排除して課税の公平をはかっています。
よって以下に、法人税法において貸倒損失として損金に算入される条件をみていきます。

1.法律などで金銭債権が切り捨てられた場合
 これは、法律などにより債権が切り捨てられた場合に、その金額をその切り捨てられた日の属する事業年度に損金に算入しなければならず、その時期を翌期以降にずらすことはできません。
 そして、その切り捨てることとなる金額は、次のようになります。
@ 会社更生法、金融機関等の更正手続の特例等に関する法律、商法、民事再生法において、切り捨てられることとなった部分の金額。
A 法令の規定によらない債権者集会の協議決定、行政機関、金融機関、その他の第三者のあっせんによる協議により、合理的な基準に基づき負債の整理をして切り捨てられることとなった部分の金額。
B 債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権の弁済を受けることができないとみとめられる場合に、その債務者に対し書面で明らかにした債務免除額。

2.事実上の貸倒れにより債権全額の回収が不可能な場合
 これは、債務者の資産状況や支払能力等からみて、その金銭債権の一部ではなく全額が回収できないときは、その事業年度において貸倒れとして損金算入することができるというものです。
 ただし、その金銭債権に担保が設定してあるときには、その担保の処分をしてからでないと損金算入はできませんので注意が必要です。
 また、保証債務は実際にその債務を履行して損失が確定するまでは損失を計上できません。

3.売掛債権に限り、形式的に回収不能となった場合
 これは、上記1、2のように売掛債権や貸付債権など金銭債権についての貸倒れの場合とは違い、売掛債権の貸倒れに限ったものであり、以下の事由が生じた場合には、売掛債権から備忘価額(通常は1円)を引いた金額を貸倒れ損失として計上できるというものです。
@ 債務者との継続的な取引の停止日、最後の弁済期限日、実際の返済日のうち、もっとも遅い日から1年以上経過した場合です。ただし、その売上債権について担保物のある場合は除きます。
A 同一地域の債務者に対しての売掛債権の総額が取立費用に満たない場合であり、支払を督促しても弁済がない場合です。
  つまり、その売掛債権を取立てると、そのために支払った経費の方が多くなってしまう場合です。

4.会社での証拠資料の保存
このように、法人税法において貸倒損失を計上するためには限定された条件を満たさなければなりません。
さらにその条件を満たしていることを証拠資料として保存しておくことが大切です。
例えば、債権者集会の通知書や、回収不能な相手先へ債務放棄を伝えた内容証明郵便の控えなどです。
税務調査で見解の相違がないように、準備をしておくことも重要です。

  

法 律
平成12年4月1日から成年後見制度がはじまりました

 民法には従来、禁治産者と準禁治産者という制度がありました。
 この制度は、判断能力を欠いた禁治産者と準禁治産者に対し、家庭裁判所の宣告により禁治産者には後見人が付され、準禁治産者には保佐人が付され、後見人や保佐人がこれらの者を保護する制度でした。
 しかし、この制度を採用すると禁治産者と戸籍に記載されたり、公的な資格を取得する場合に制限される等の問題があり、利用率は高くありませんでした。
 そのため、高齢化社会を迎え痴呆の進行などにより判断能力を欠いた高齢者や、精神の障害を持つ方を守るために、成年後見制度がはじまりました。
 それにより、従来の禁治産者や準禁治産者の宣告を戸籍へ記載されることは廃止されました。
 この新しい成年後見制度には、「法定後見制度」と「任意後見制度」とがあります。
 法定後見制度は法律の規定により本人の意思とは関係なく保護を図る制度であり、任意後見制度は本人の判断力があるときに保護者を選び、その者に事務の執行を依頼しておく制度です。

1.法定後見制度
 法定後見制度は、「後見」「保佐」「補助」の3つの形態に別れます。
 「後見」は旧禁治産者に該当するものです。これは、常に判断能力が欠けている状態の者(被後見人という)を対象にした制度であり、成年後見人が被後見人の財産についての管理や法律行為を代理で行うものです。
 これにより、成年被後見人が行った契約などを成年後見人が取消すことができます。ただし、日用品の購入などについては、被後見人自身が行えます。  「保佐」は、従来の準禁治産者に相当し、判断能力が著しく不充分な方(被保佐人という)の重要な法律行為については、家庭裁判所の審判により個別的に代理権をもつ保佐人の同意を必要とするというものです。
 「補助」は、判断能力が不十分な方で従来の準禁治産者にまではいたらなかった方(被保佐人)について今回新たに創設された制度です。
 この場合、被補助人は単独で法律行為ができる反面、特定の法律行為については家庭裁判所の審判により補助人の同意を得ることが必要になります。
 これらの後見人・保佐人・補助人は、被後見人・被保佐人・被補助人の意志を尊重し、財産管理にとどまらず、療養看護や生活全般において配慮しなければならないこととされています。
 また、後見人等は、不動産の売買等の代理行為をする場合には家庭裁判所の許可が必要となっており、代理権乱用の防止がはかられています。
 この後見・保佐・補助の制度は、家庭裁判所の審判の後、不動産登記の場合と同様に登記されますが、その証明書の請求は本人、配偶者、4親等内の親族等に限られ、他の者は請求できないようになっています。

2.任意後見制度
 任意後見制度は、法定後見制度のように法律で強制されるのではなく、本人の判断能力があるときに将来のことを予め考え、任意後見人と契約を結び、判断能力に支障をきたした場合には任意後見人に支援してもらう制度です。
 そのため、本人の判断能力に障害が発生した場合には、財産管理にとどまらず療養や看護等の生活全般について、代理権を付与している任意後見人に支援してもらいます。
 この制度も法定後見制度と同様に不動産登記のように任意後見契約は登記されますが、証明書の請求は本人、配偶者、4親等内の親族等に限られています。

3.今後の課題
 日本はすでに高齢社会に突入しており、高齢者をめぐる社会保障や福祉のあり方などの新たな社会問題を解決しなければなりません。その問題を解決する手段のひとつとして、後見制度が発足しました。これにより、単独で自分の為に必要な法律行為が行えない者を保護する仕組みができましたので、任意後見契約を結び老後に備えるなどの対策も考えられるようになりました。
 しかし、誰を任意後見人に選任するかは悩むところではないでしょうか。
 その場合には財産管理はもとより、療養や看護等の生活全般についても多くのネットワークを構築している税理士は有力候補ではないでしょうか。

人事・労務
時間外、休日及び深夜の割増賃金

 @時間外(法定外残業)に労働させた場合は2割5分以上
 A深夜(午後10時〜午前5時)と時間外が重なる場合は5割以上
 B法定休日の場合は3割5分以上
の1時間あたりの割り増し賃金を支払わなければなりません。
 割増賃金の計算の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金等は算入しません。
 割増賃金等の計算の基礎になる賃金に含まれるかどうかは、名称ではなく内容により判断され、例えば住宅手当という名称であっても、全員一律、定額で支給されている場合などは割増賃金の計算の基礎に算入しなければなりません。
 法定労働時間は原則として1日8時間、週40時間と労働基準法で定められています。この法定労働時間を超えた場合を法定残業といいます。

1.時間外労働の割増率
(例)所定労働時間が午前9時から午後5時(休憩1時間)までの場合
   法定時間内残業
      17:00〜18:00 → 1時間当たりの賃金×1.00×1時間
   法定時間外残業
      18:00〜22:00 → 1時間当たりの賃金×1.25×4時間
   法定時間外残業+深夜残業
      22:00〜 5:00 → 1時間当たりの賃金×1.50(1.25+0.25)
                    ×7時間
2.法定休日労働の割増率
(例)午前9時から午前0時(休憩1時間)まで労働させた場合
   休日労働
       9:00〜22:00 → 1時間当たりの賃金×1.35×12時間
   休日労働+深夜労働
      22:00〜24:00 → 1時間当たりの賃金×1.60(1.35+0.25)
                    ×12時間

経 営
バランススコアカード(バランストスコアカード)
             英文表記   Balanced Scorecard
             略   記    BSC

1. BSCとは?
 BSCとは?の問いに対しては、次のようにいろいろな説明がされている。 横浜国大吉川教授は「BSCは、ビジョンと戦略 をアクションに落とし込み、成長力と競争力を付け、未来を切り拓き企業を成功に導く戦略的マネジメントシステムである。」、 神戸大学伊藤教授は「BSCは、日本企業が半ば無意識のうちに培ってきた「顧客満足の追求」、「従業員重視」、 「長期的展望にもとづく経営」をシステマティックに再構築し、新たに「株主価値の向上」というゴールを付与した。」、早大清 水教授は「BSCは、業績評価システムではなく、戦略をマネジメントするためのシステムである。すなわち、戦略マネジメント システムである。これまで、連携が弱かった戦略と予算との橋渡しをするツールである。」と説明している。

2. BSCの誕生
  BSCは、デビット・ノートンとロバート・キャプランにより、1992年にハーバード・ビシネス・レビュー誌に業績測定問題の 解決の手法として発表された。  その後、デビット・ノートンとロバート・キャプランの予想を超えて、実際に企業は、業績の測定にとどまらず、新しい戦略導入 の手法として利用し、大きな利益をあげることができた。  その結果、BSCは、新しい組織形態である「戦略志向の組織体」実現のために利用されるようになってきた。  すなわち、BSCの手法の特徴は、ビジョンと戦略をアクションに落とし込み、成長力と競争力を付けるための戦略的マネジメン トシステムを作り上げることであるということができる。

3. 4つの視点
 ビジョンと戦略を実現するためにこれらに密接に絡む4つの視点を次に説明する。
 (1) 財務の視点
    これまでの財務分析と同等のやり方で成果を評価する視点。過去から現在ま
   での企業活動状況をみる。

     成果指標(例) 株式資本利益率、投下資本利益率、キャシュフロー

 (2) 顧客の視点 
    顧客にとっての自社の強み、弱みを評価する視点。売上高や利益率等財務の
   視点に直結する要因となる。

     成果指標(例) 市場占有率、顧客満足度、ブランド力

 (3) 内部業務プロセスの視点
    SCM,商品開発、マネジメントプロセス等の業務プロセスについて、品質、
   効果、付加価値を評価する視点。
    顧客に対する価値の大きさに直結する要因。

     成果指標(例) 新製品売上高比率、品質、生産性

 (4) 学習と成長の視点
    持続的な成長のために人材、組織、情報システムなどのインフラを評価する
   視点。
    安定した成長性を長期的に判断する。

     成果指標(例) 従業員スキル、ナレッジメント

 I T
セキュリティ 

 企業におけるEUCの進展にともない、情報セキュリティ対策を個別的、具体的に実施することは当然であるが、その前に、 経営に「ビジョン」や「戦略」があるように、情報セキュリティにも「情報セキュリティポリシー」がなければならない。
 これは、企業や組織体が持っている「人」、「物」、「金」、「情報」という財産のうち、まさに情報財産を守るための個別的、具体的な方針、約束、規則等を明文化したものである。
 このポリシーの策定とその実施、教育、訓練及びそれらの評価をすることにより、より安全性の高い、そして費用対効果のよい情報セキュリティ対策が可能となる。

 次に、具体的に検討すべき項目例を述べる。

  1. 情報セキュリティ委員会(グループ)の設置
  2. 会社、事務室、コンピュータ室への入退室管理
  3. 情報の機密度の評価とその管理
  4. 情報機器利用に関する教育、訓練
  5. 情報機器の保守点検
  6. システム開発の管理
  7. アウトソーシング契約および管理
  8. イントラネット、エクストラネット、インターネット利用規程
  9. 電子メール利用規程
 10. パスワード管理
 11. ソフトウエアーとそのインストール等の管理
 12. データの暗号化
 13. コンピュータウィルス対策
 14. データベース管理、保守、運用
 15. データ媒体の管理、保守、運用
 16. アウトプット資料の管理、運用   等々 

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